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スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

SU(2)とは

「次に、2行2列のユニタリ行列で行列式が1であるものの全体のなす群を2次元特殊ユニタリ群といい、SU(2)と書きます」

2次元特殊ユニタリ群(SU(2))の条件
(1) 2行2列のユニタリ行列
(2) 行列式が1

「ここで、SU(2)のSは、Special(特殊)の略、Uは、Unitary(ユニタリ)の略、そして(2)は、2次元の略です」

SU(2)= Special(特殊)+Unitary(ユニタリ)+2次元

「一方、一般的なN行N列のユニタリ行列から定義される群は、U(N)と書きます」

一般的なN行N列のユニタリ行列から定義される群U(N)
例えば、2行2列のユニタリ行列から定義される群U(2)

「特殊(Special)って、何がスペシャルなのよ?」
「一般的なユニタリ行列と違って、行列式が1という条件が付く点でスペシャルなのだと思います。つまり、一般的な2行2列のユニタリ行列U(2)の集まりのうち、行列式が1となる集まりが、2次元特殊ユニタリ群SU(2)なのです。そういう意味で、SU(2)は、U(2)の部分をなす群(部分群)となります」

SU(2):U(2)の部分をなす群(部分群)

ユニタリ変換とユニタリ行列の関係

「ところで、ユニタリ変換は、ヒルベルト空間において定義されますが、特に、ヒルベルト空間が、複素数列のベクトル \xi=(\xi_1, \cdots, \xi_n)で、 \bar{\xi}_i \xi_i複素共役として、その自乗の総和」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\mid\xi\mid^2&=&\bar{\xi}_1\xi_1+\bar{\xi}_2\xi_2+\cdots+\bar{\xi}_n\xi_n
\end{eqnarray}
}

「からなる集合の場合、ユニタリ変換は、ユニタリ行列 Uで表され、次のように書くことが出来ます」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
U^\dagger U&=&UU^\dagger=E
\end{eqnarray}
}

「ここで、 E単位行列(unit matrix)であり、ここにも『unit』という言葉が現れます。なお、ユニタリ変換は、どのような場合でもユニタリ行列で表されるように記載されている教科書もありますが、実は、これは厳密ではありません。実際、上の条件を満たさないヒルベルト空間では、ユニタリ変換をユニタリ行列で表すことができません」

特定のヒルベルト空間において、ユニタリ変換はユニタリ行列で表される
 ↓
全てのヒルベルト空間において、ユニタリ変換がユニタリ行列で表されるわけではない
 ↓
全てのユニタリ変換がユニタリ行列に対応するわけではない

「したがって、全てのユニタリ変換がユニタリ行列に対応するわけではありません。この点について、間違いを記載した教科書やWikiも多いので注意してください」
「そんなこと言ったって、同じ『ユニタリ』なんて名前が付いているから、てっきり同じものだと思ってしまうじゃないの!」
 一宮がふてくされるような顔で文句を言った。

「たしかに紛らわしいですが、正しくは、ユニタリ変換が定義される空間の範囲は、ユニタリ行列が定義される空間の範囲よりも広いイメージです」

ユニタリ変換が定義される空間の範囲  \supset ユニタリ行列が定義される空間の範囲

「だから、ユニタリ変換=ユニタリ行列というように、間違って覚えないで下さいね」

ユニタリ変換とは

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
Q&=&i\int (\phi_a \dot{\phi}_a^*- \phi _a^*\dot{\phi}_a) d^3x\\
&=&i\int (\phi_a \pi_a- \phi _a^*\pi_a^*) d^3x\\
\end{eqnarray}
}

「ところで、上の保存電荷(ネーター・チャージ)の式は、 e^{i\gamma} \gammaは実数)として、位相変換 \phi_a\rightarrow e^{i\gamma}\phi_a=U\phi_aに対して不変となることがわかります。ここで、 U=e^{i\gamma}は、一次元のユニタリ変換と見なすことができます」
「ユニタリ変換ってなによ?」
一宮が首を傾げた。
「ユニタリ変換は、ざっくりいえば、変換の前後で距離や角度を変えない変換です」

ユニタリ変換の性質1(等距離性):
変換の前後で距離や角度を変えない

「なお、ここでいう等距離性とは、角度情報を含めた距離、すなわち、内積スカラー積)の値を変えない性質を意味します」

等距離性:角度情報を含めた距離(内積)を変えない性質

「また、ユニタリ変換の定義には、もう1つ条件があって、ヒルベルト空間(無限次元までの実数空間または複素数空間)において、変換先の任意の空間要素に対し、必ず対応する変換元の空間要素が存在するという性質を有します」

ユニタリ変換の性質2(全射性):
ヒルベルト空間(無限次元の実数空間または複素数空間)において、変換先の任意の空間要素に対し、必ず対応する変換元の空間要素が存在する

「ちなみに、ユニタリ変換のユニタリ(Unitary)には、『単位の、単一の』という意味があります」

ユニタリ(Unitary):単位の、単一の

「単位? どうして単位なのよ?」

「詳細は省きますが、ユニタリ変換を線形演算子 Uで表したとき、上の条件(1)は、 Uのエルミート共役を U^\dagger 1を恒等演算子として、 U^\dagger U=1と表されます。また、上の条件(2)は、 UU^\dagger=1と表されます」

ユニタリ変換の性質1(等距離性): U^\dagger U=1
ユニタリ変換の性質2(全射性): UU^\dagger=1

「このように、ユニタリ変換の性質には、恒等演算子1が現れます。 この1がある意味、単位(unit)となるため、ユニタリ(unitary)変換という名称が付いたのだと思います」

複素スカラー場の保存電荷3

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
j^\mu(x)&=&\frac{\partial \mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi_i)}\Delta\phi_i+\frac{\partial \mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi_i^*)}\Delta\phi _i^*\\
&=& i\phi_i \partial_\mu\phi_i^*- i\phi _i^*\partial_\mu\phi_i\\
&=& i(\phi_i \partial_\mu\phi_i^*- \phi _i^*\partial_\mu\phi_i)
\end{eqnarray}
}

「複素スカラー場のネーター・カレントの式から、保存電荷であるネーター・チャージ(電荷)の式を導くことができます」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
Q\equiv\int_{\mathrm{all \, space}}j^0d^3x
\end{eqnarray}
}
(2.13)

「ネーター・チャージQは、上の(2.13)式のように、ネーター・カレントの式の第0成分(時間成分)を全空間で積分した式となります。そこで、複素スカラー場のネーター・カレントの式を上の(2.13)式に代入することにより、保存電荷の式を導くことができます」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
Q&\equiv&\int_{\mathrm{all \, space}}j^0d^3x\\
&=& i\int (\phi_a \partial_0\phi_a^*- \phi _a^*\partial_0\phi_a) d^3x\\
&=& i\int (\phi_a \dot{\phi}_a^*- \phi _a^*\dot{\phi}_a) d^3x\\
&=& i\int (\phi_a \pi_a- \phi _a^*\pi_a^*) d^3x\\
\end{eqnarray}
}

「ただし、 \partial_0\phi_a^*=\dot{\phi}_a^*=\pi_a, \partial_0\phi_a=\dot{\phi}_a=\pi_a^*の関係を用いました。したがって、複素スカラー場の保存電荷の式は、次のようになります」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
Q&=& i\int (\phi_a \pi_a- \phi _a^*\pi_a^*) d^3x\\
\end{eqnarray}
}

複素スカラー場の保存電荷2

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\mathcal{L}&=&\partial_\mu\phi_a^*\partial^\mu\phi_a-m^2\phi_a^*\phi_a.
\end{eqnarray}
}

「このラグランジアンは、 \thetaを任意定数として、位相変換 \phi_a\rightarrow e^{i\theta}\phi_aに対して不変となることがわかります。それゆえ、ネーターの定理から保存電流(ネーター・カレント)が存在することが分かります。そこで、(2.12)式に基づき、上のラグランジアンからネーター・カレントを導いてみます」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\partial_\mu j^\mu(x)=0, \,\,\,\,\,\,\,\,\,\, \mathrm{for}\,\,\,\,\,\, j^\mu(x)=\frac{\partial \mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi)}\Delta\phi-\mathcal{J}^\mu
\end{eqnarray}
}
(2.12)

「ここで、変換 \phi_a\rightarrow e^{i\theta}\phi_aは、2種類の場 \phi_a, \phi_a^*の変動によるものなので、(2.12)式において、2種類の場 \phi_a, \phi_a^*からの寄与のみを考慮します」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
j^\mu(x)&=&\frac{\partial \mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi_a)}\Delta\phi_a+\frac{\partial \mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi_a^*)}\Delta\phi _a^*
\end{eqnarray}
}

「次に、 \Delta\phi_aを求めるため、位相変換 \phi_a\rightarrow e^{i\theta}\phi_aの位相 \thetaが微小量(\theta\ll 1)だけ変化したときを想定して、一次の項までテーラー展開してみます」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
e^{i\theta}\phi_a&\simeq&(1+i\theta)\phi_a=\phi_a+i\theta\phi_a
\end{eqnarray}
}

「また、このときの\phi_aの変化量を \phi_a\rightarrow\phi_a+\theta\Delta\phi_aとして、上式と比較すると、 \Delta\phi_a= i\phi_aとなることが分かります。」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
e^{i\theta}\phi_a&\simeq&(1+i\theta)\phi_a=\phi_a+i\theta\phi_a\\
&=&\phi_a+\theta\Delta\phi_a
\end{eqnarray}
}

「同様に、変換 \phi_a^*\rightarrow e^{-i\theta}\phi_a^*を一次の項までテーラー展開すると、 \Delta\phi_a^*=-i\phi_a^*が導けます。したがって、複素スカラー場のネーター・カレントの式は、次のようになることがわかります」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
j^\mu(x)&=&\frac{\partial \mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi_i)}\Delta\phi_i+\frac{\partial \mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi_i^*)}\Delta\phi _i^*\\
&=& i\phi_i \partial_\mu\phi_i^*- i\phi _i^*\partial_\mu\phi_i\\
&=& i(\phi_i \partial_\mu\phi_i^*- \phi _i^*\partial_\mu\phi_i)
\end{eqnarray}
}

複素スカラー場の保存電荷1

「それでは次に、問題2.2dを解いてみます」

問題2.2d:同一の質量を有する2つの複素クライン‐ゴルドン場の場合を考えよ。場を \phi_a(x) (a=1,2)としなさい。いま、4つの保存電荷があり、1つは問題(c)の一般化によって与えられ、残りの3つは、次の式によって与えられることを示せ。

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
Q&=&\int d^3x\frac{i}{2}(\phi_a^*(\sigma^i)_{ab}\pi_b^*-\pi_a(\sigma^i)_{ab}\phi_b)
\end{eqnarray}
}

ここで、 \sigma^iはパウリのシグマ行列である。これらの3つの電荷角運動量(SU(2))の交換関係を有することを示せ。これらの結果をnの同一の複素スカラー場の場合に一般化せよ。

「それでは、問題2.2dを解いていきましょう。クライン‐ゴルドン場に従う複素スカラー \phiラグランジアン \mathcal{L}は、次のように書くことができることは以前お話しました」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\mathcal{L}&=&\partial_\mu\phi^*\partial^\mu\phi-m^2\phi^*\phi.
\end{eqnarray}
}

「それゆえ、同一の質量を有する2つの複素クライン‐ゴルドン場のラグランジアンは、添字 aを使って次のように書くことができます」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\mathcal{L}&=&\partial_\mu\phi_a^*\partial^\mu\phi_a-m^2\phi_a^*\phi_a.
\end{eqnarray}
}

「このラグランジアンは、 \thetaを任意定数として、位相変換 \phi_a\rightarrow e^{i\theta}\phi_aに対して不変となることがわかります。なぜなら、 \phi_a, \phi_a^*とがペアで現れるため、指数関数 e^{i\theta} e^{-i\theta}とが互いに相殺しあうためです」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\phi_a\phi_a^*&\rightarrow& (e^{i\theta}\phi_a)(e^{-i\theta}\phi_a^*)=\phi_a\phi_a^*\\
\partial_\mu\phi_a^*\partial^\mu\phi_a&\rightarrow&(e^{-i\theta}\partial^\mu\phi_a^*)(e^{i\theta}\partial^\mu\phi_a)=\partial_\mu\phi_a^*\partial^\mu\phi_a
\end{eqnarray}
}

生成・消滅演算子で表した複素スカラー場の保存電荷3


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
Q&=&\int d^3x\frac{i}{2}(\phi^*\pi^*-\pi\phi)\\
&=&\int\frac{d^3p}{(2\pi)^3}\frac{1}{\sqrt{2E_{\bf{p}}}}\int\frac{d^3q}{(2\pi)^3}\frac{1}{\sqrt{2E_{\bf{q}}}}\\
&\times&(E_{\bf{q}}+E_{\bf{p}})(a_{\bf{p}}^\dagger a_{\bf{q}}e^{-i(E_{\bf{q}}-E_{\bf{q}})\cdot{\bf{x}}}-b_{\bf{p}} b_{\bf{q}}^\dagger e^{-i(E_{\bf{q}}-E_{\bf{q}})\cdot{\bf{x}}})(2\pi)^3\delta^{(3)}({\bf{p}}-{\bf{q}})
\end{eqnarray}
}

「次に、デルタ関数\delta^{(3)}({\bf{p}}-{\bf{q}})についても同様に、 {\bf{p}}={\bf{q}}のときのみ値が残ることから、この関係を上式に代入すると、次のようになります」


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
Q&=&\int d^3x\frac{i}{2}(\phi^*\pi^*-\pi\phi)\\
&=&\int\frac{d^3p}{(2\pi)^3}\frac{1}{\sqrt{2E_{\bf{p}}}}\int\frac{d^3q}{(2\pi)^3}\frac{1}{\sqrt{2E_{\bf{q}}}}\\
&\times&(E_{\bf{q}}+E_{\bf{p}})(a_{\bf{p}}^\dagger a_{\bf{q}}e^{-i(E_{\bf{q}}-E_{\bf{q}})\cdot{\bf{x}}}-b_{\bf{p}} b_{\bf{q}}^\dagger e^{-i(E_{\bf{q}}-E_{\bf{q}})\cdot{\bf{x}}})(2\pi^3)\delta^{(3)}({\bf{p}}-{\bf{q}})\\ 
&=&\int\frac{d^3p}{(2\pi)^3}\frac{1}{\sqrt{2E_{\bf{p}}}}\frac{1}{\sqrt{2E_{\bf{p}}}}2E_{\bf{p}}(a_{\bf{p}}^\dagger a_{\bf{p}}e^{-i(E_{\bf{p}}+E_{\bf{p}})\cdot{\bf{x}}}-b_{\bf{p}} b_{\bf{p}}^\dagger e^{-i(E_{\bf{p}}-E_{\bf{p}})\cdot{\bf{x}}})\\ 
&=&\int \frac{d^3p}{(2\pi)^3}(a_{\bf{p}}^\dagger a_{\bf{p}}-b_{\bf{p}} b_{\bf{p}}^\dagger)\\ 
\end{eqnarray}
}

「ここで、交換関係 [ b_{\bf{p}}, b_{\bf{p}}^\dagger]= b_{\bf{p}}b_{\bf{p}}^\dagger- b_{\bf{p}}^\dagger b_{\bf{p}}から、 b_{\bf{p}}b_{\bf{p}}^\dagger=[ b_{\bf{p}}, b_{\bf{p}}^\dagger]+ b_{\bf{p}}^\dagger b_{\bf{p}}となり、これを上式に代入すると、次のようになります」


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
Q&=&\int d^3x\frac{i}{2}(\phi^*\pi^*-\pi\phi)\\
&=&\int \frac{d^3p}{(2\pi)^3}(a_{\bf{p}}^\dagger a_{\bf{p}}-b_{\bf{p}} b_{\bf{p}}^\dagger)\\ 
&=&\int \frac{d^3p}{(2\pi)^3}(a_{\bf{p}}^\dagger a_{\bf{p}}- b_{\bf{p}}^\dagger b_{\bf{p}}-[ b_{\bf{p}}, b_{\bf{p}}^\dagger])\
\end{eqnarray}
}

「最後の項は、定数、すなわち古典的なc数であり、ハミルトニアンの計算の場合と同様に、この定数項を無視すると、保存電荷 Qの式は結局、次のようになることがわかります」


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
Q&=&\int \frac{d^3p}{(2\pi)^3}(a_{\bf{p}}^\dagger a_{\bf{p}}- b_{\bf{p}}^\dagger b_{\bf{p}}).
\end{eqnarray}
}

「これから、2種類の生成・消滅演算子の積 a_{\bf{p}}^\dagger a_{\bf{p}} b_{\bf{p}}^\dagger b_{\bf{p}}は、保存電荷に対して互いに逆符号で結ばれていることがわかります。これから、複素スカラー場のクライン‐ゴルドン場の理論から導かれた2種類の粒子は、同一のエネルギーEおよび質量mを有するだけでなく、互いに正反対の電荷を有することがわかります」

複素スカラー場のクライン‐ゴルドン場の理論から導かれた2種類の粒子
(1) 同一のエネルギーEおよび質量mを有する
(2) 互いに正反対の電荷を有する