スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

散乱断面積とは

「『散乱』については大体わかったけど、『断面積』はなんなのよ?」
「『断面積』というのは、粒子の衝突が起こる確率を標的の面積としてあらわしたものです」
 そういって越野さんは、ホワイトボードに説明を書いた。

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「上の図のように、単位時間、単位面積あたりN個の入射粒子が標的に向かって直進しているものとします。このとき、入射粒子の進行方向に対して垂直な平面で標的を切断した切断面の面積は、上図のA−B矢視断面図に示すように、標的のちょうど真ん中で切断したときに最大になります。この断面積をσとすると、断面積σの範囲内に含まれる軌道をもった入射粒子はすべて標的にぶつかります」
「つまり、『散乱断面積』って、文字どおり標的に入射する粒子を散乱する断面積ってわけね」
越野さんは頷いた。

散乱断面積:標的に入射する粒子を散乱する断面積

「ここで、単位面積1m^2を単位時間1秒で通過する粒子の数Iが100個であるとすると、 0.5m^2の断面積σを1秒で通過する粒子の数Nは、 N=I\times\sigma=100\times0.5=50個となります。このとき、粒子が散乱される確率は50%になります]

100個の粒子のうち、50個の粒子が散乱される
 ↓
粒子の散乱確率は50%

「同様に、単位面積を単位時間に通過する粒子の数をIとすると、単位時間当たりに標的にぶつかって散乱が起こる回数Nは、 N=I\sigma回となります。I個の入射粒子に対し、N回の散乱が起こるのですから、粒子の散乱が起こる確率Pは、 P=\frac{N}{I}=\frac{I\sigma}{I}=\sigmaとなります。つまり、散乱断面積σは、単位面積・単位時間あたり100個の粒子を標的に向けて飛ばしたときに、100σ回散乱が起こるという、散乱確率をあらわしたものなのです」

散乱断面積σは、散乱確率をあらわしたもの
 ↓
単位面積・単位時間あたり100個の粒子を標的に向けて飛ばしたとき、100σ回散乱が起こる