読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

ラザフォードの散乱実験

「このように、ターゲットに当てたときに粒子が散乱される確率を調べることによって、そのターゲットの構造を知ることができるのです」
 越野さんの説明を聞いても、一宮は、いまいち腑に落ちないような表情をしていた。その様子を見て俺は言った。

「いかにも不満そうな顔だな」
「当然でしょ? だってわざわざ散乱確率なんか調べなくても、ビリヤードの的球の配置なんて見れば分かるじゃない? なんでそんなまだるっこっしいことをしないといけないわけ?」
なるほど、一宮の疑問ももっともだ。

 越野さんが一宮の疑問に答えた。
「ビリヤードの的球の配置は一目瞭然なので、散乱確率を調べるメリットはほとんど感じられないかもしれませんね。ですが、原子の場合はそうはいきません。なぜなら、原子の大きさは、大体0.1nm(ナノメートル)であり、髪の毛の太さ(大体0.1mmくらいです)の百万分の1も小さいのです。このような微小な構造はさすがに直接目で見るわけにもいかないので、散乱確率を調べることが役立つのです」

目で見えない微小な構造を知るのに、散乱確率を調べることが役立つ

「実際、ニュージーランド生まれのイギリスの物理学者であるアーネスト・ラザフォードは、プラスの電荷をもったアルファ粒子を金属の薄板にぶつけ、その散乱の様子に基づいて原子核の周囲の軌道を電子が回るという原子核モデルの構造を発見したのです」

f:id:Dreistein:20141001054137p:plain

アーネスト・ラザフォードの散乱実験
アルファ粒子を金属の薄板に衝突させ、その散乱の様子に基づいて原子核の周囲の軌道を電子が回るという原子核モデルを提案した。

「ですから、顕微鏡でも見ることができない微小な構造を調べるのに、散乱確率を調べることがとても役立つのです」

「というわけだ。納得できたか?」
「大体はね……」
一宮はふてくされたようにそっぽを向いた。どうにも素直じゃない奴だ。