スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

フェルミ粒子とは

散乱の微小確率: d\sigma=\frac{|\langle\,f\mid \hat{S} \mid i\,\rangle|^2}{\langle\,i\mid i\,\rangle}\frac{d\bf{p}}{(2\pi)^32E_p} \frac{d\bf{k}}{(2\pi)^32E_k}

「次に、上の式のブラケットの中身を計算してみましょう。まずは分母のブラケット \langle i\mid i\rangleを計算してみます。始状態 \mid i\rangle=a_{\bf{p}}^{\dagger}\alpha_{\bf{k}}^{\dagger}\mid 0\rangleから、 \langle i\mid i\rangleは、次のように書くことが出来ます」

 \langle i\mid i\rangle= \langle 0\mid\alpha_{\bf{k}}a_{\bf{p}}a_{\bf{p}}^{\dagger}\alpha_{\bf{k}}^{\dagger}\mid 0\rangle

「ここで、電子・陽電子はいずれもフェルミ粒子なので、反交換関係 \{a_i, a_j^\dagger\}=\delta_{ij},   \{a_i^\dagger, a_j^\dagger\}= \{a_i, a_j\}=0が成り立ちます。ここで、 \delta_{ij}は、クロネッカーのデルタと呼ばれ、 i=jのとき、 \delta_{ij}=1 i\neq jのとき、 \delta_{ij}=0となる関数です。また、反交換関係は、 \{A, B\}=AB+BAのように定義されます」

反交換関係 \{a_i, a_j^\dagger\}=\delta_{ij},   \{a_i^\dagger, a_j^\dagger\}= \{a_i, a_j\}=0
(ただし、 \delta_{ij}=1\,(i=j) \delta_{ij}=0\,(i\neq j)
 また、 \{A, B\}=AB+BA

「ちょっと、フェルミ粒子って何よ?」
 一宮が不満そうに訊ねる。
「さっきから私の知らないことだらけじゃないの!」
「お前が無知なだけだ」
 俺が厳しく突っこむと、一宮は俺をにらみつけた。
「あんた、一体何様のつもりよ?」
「俺はごくごく普通の高校生様にすぎないが」
「ごくごく普通の高校生がどうしてフェルミ粒子なんて知ってるのよ?」
「2人とも、喧嘩はだめです!」
 慌てふためいた越野さんが、俺と一宮の間に割って入った。

 俺たちの様子を見た石原が微笑みながらフォローする。
「すみません。フェルミ粒子の説明はまだでしたね」
 そういえば、こいつの微笑んでいる以外の表情は見たことがないな。俺は恐ろしい事実に戦慄した。

 石原は続けた。
「粒子の種類は、波動関数対称性から大まかに2種類に分けられます。1つは、電子やミュー粒子、ニュートリノのようなフェルミ粒子(フェルミオン)と呼ばれる粒子であり、もう1つは、光子や中間子のようなボース粒子(ボソン)と呼ばれる粒子です」

粒子の種類は、波動関数対称性から大まかに2種類に分けられる
フェルミ粒子(フェルミオン):電子、ミュー粒子、ニュートリノ
ボース粒子(ボソン):光子、中間子

「具体的にいえば、フェルミ粒子は、同じ種類の2つの粒子を入れ替えると波動関数の正負の符号が反転するような粒子であり、ボース粒子は同じ種類の2つの粒子を入れ替えても、波動関数の正負の符号が反転しないような粒子です」

フェルミ粒子:同じ種類の2つの粒子を入れ替えると波動関数の正負の符号が反転する
 \Psi(\cdots, x_i, \cdots, x_j, \cdots)=-\Psi(\cdots, x_j, \cdots, x_i, \cdots)
ボース粒子:同じ種類の2つの粒子を入れ替えても、波動関数の正負の符号が反転しない
 \Psi(\cdots, x_i, \cdots, x_j, \cdots)=\Psi(\cdots, x_j, \cdots, x_i, \cdots)

「上の式において、 \Psiは、複数の粒子からなる波動関数をあらわし、 x_i, x_jは、複数の粒子のうち、任意の同じ種類の2つの粒子の位置をあらわします。このように、同じ種類の粒子の入れ替えに対して、波動関数の正負の符号が反転する粒子をフェルミ粒子、反転しない粒子をボース粒子と呼んで区別しています」