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スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

重心系で考えることのメリット

散乱の微小確率: 
d\Gamma=\frac{T|M|^2}{64\pi^2V E_kE_k^\prime E_p E_p^\prime}\delta^4({\bf{k}}+{\bf{k}^\prime}-{\bf{p}}-{\bf{p}^\prime})d^3{\bf{k}} d^3{\bf{k}^\prime}

積分変数が多いので、少し整理しましょう。運動量の積分変数としては、ミュー粒子 \mu^-の運動量の積分変数 d^3{\bf{k}}と反ミュー粒子 \mu^+の運動量の積分変数 d^3{\bf{k}}^\primeの2種類がありますが、今は重心系を考えているので、ミュー粒子 \mu^-の運動量 \bf{k}と反ミュー粒子 \mu^+の運動量 \bf{k}^\primeとの間には、 \bf{k}^\prime=-\bf{k}の関係があります。それゆえ、ミュー粒子 \mu^-の運動量 \bf{k}が決まれば、反ミュー粒子 \mu^+の運動量 \bf{k}^\primeも自動的に決まるため、上の散乱の微小確率 d\Gammaの式は、反ミュー粒子 \mu^+の運動量の積分変数 d^3{\bf{k}}^\primeを省略して、ミュー粒子 \mu^-の運動量の積分変数 d^3{\bf{k}}のみであらわすことができます」

重心系の運動量を考える( \bf{k}^\prime=-\bf{k}
 ↓
ミュー粒子 \mu^-の運動量 \bf{k}が決まれば、反ミュー粒子 \mu^+の運動量 \bf{k}^\primeも自動的に決まる
 ↓
反ミュー粒子 \mu^+の運動量の積分変数 d^3{\bf{k}}^\primeを省略できる

「また、重心系においては、 \bf{p}^\prime=-\bf{p},  \bf{k}^\prime=-\bf{k}の関係から {\bf{k}}+{\bf{k}^\prime}-{\bf{p}}-{\bf{p}^\prime}=0が成り立つため、デルタ関数 \delta^4({\bf{k}}+{\bf{k}^\prime}-{\bf{p}}-{\bf{p}^\prime})のうち、3次元の運動量部分については満たされます。それゆえ、4元運動量のうち、エネルギーのデルタ関数のみが残ります」

重心系では、 \bf{p}^\prime=-\bf{p},  \bf{k}^\prime=-\bf{k}の関係から {\bf{k}}+{\bf{k}^\prime}-{\bf{p}}-{\bf{p}^\prime}=0が成り立つため、 \delta^4({\bf{k}}+{\bf{k}^\prime}-{\bf{p}}-{\bf{p}^\prime})のうち、3次元の運動量のデルタ関数は満たされる
 ↓
エネルギーのデルタ関数 \delta(E_k+E_k^\prime-E_p-E_p^\prime)のみが残される

「したがって、散乱の微小確率の式 \Gammaは、次のようになります」

散乱の微小確率: 
d\Gamma=\frac{T|M|^2}{64\pi^2V E_kE_k^\prime E_p E_p^\prime}\delta(E_k+E_k^\prime-E_p-E_p^\prime)d^3{\bf{k}}

「このように、2粒子の散乱問題においては、重心系で考えると、いろいろな要素を省略できるため、計算が簡単になるというメリットがあります」