スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

複素共役とは

 \langle\gamma\mid H_I\mid \mu^+\mu^-\rangle_\mu\propto e(0, \cos{\theta}, i, -\sin{\theta}) (1.5)

「次に、(1.5)式の複素共役(ふくそきょうやく)をとると、次のようになる」

 \langle\mu^+\mu^- \mid H_I\mid\gamma\rangle^\mu\propto e(0, \cos{\theta}, -i, -\sin{\theta})

複素共役?」
複素共役とは、複素数 a+biに対して、その虚部 biの符号を入れ替えた複素数a-biを求めること。もとの複素数 \alphaとすれば、その複素共役 \alpha^\astで表す」
「どうして複素共役をとる必要があるのよ」
「関数 \phi^\ast(q)を関数 \phi(q)複素共役であるとすると、 \langle f \mid A \mid i\rangleは次のようにかける」

 \langle f \mid A \mid i\rangle=\int_{-\infty}^{\infty}{\phi_f^\ast(q)\hat{A}\phi_i(q)dq}

「また、演算子 \hat{A}をエルミート演算子(観測される物理量が、複素数でなく実数であることを保証する演算子)として、 \hat{A}\phi(q)=\{\phi^\ast(q)\hat{A}^\dagger\}^\astおよび \hat{A}=\hat{A}^\daggerの関係が成り立つことを用いると、ブラケットの左右を入れ替えた \langle i \mid A \mid f\rangleは次のようにかける」

 \begin{eqnarray}
\langle i \mid A \mid f\rangle
&=&\int_{-\infty}^{\infty}{\phi_i^\ast(q)\hat{A}\phi_f(q)dq}\\
&=&\int_{-\infty}^{\infty}{\phi_i^\ast(q)(\hat{A}\phi_f(q))dq}\\
&=&\int_{-\infty}^{\infty}\{(\phi_f^\ast(q) \hat{A}^\dagger)\phi_i(q)\}^\ast dq\\
&=&\langle f \mid A \mid i\rangle^\ast
\end{eqnarray}

「これから、ブラケットの左右の入れ替えは、ブラケットの複素共役をとることに対応することがわかる」

 \langle i \mid A \mid f\rangle=\langle f \mid A \mid i\rangle^\ast