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スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

オイラー・ラグランジュ方程式の導出法

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
0&=&\delta S\\
&=&\int d^4x\bigg\{\frac{\partial\mathcal{L}}{\partial\phi}\delta\phi+\frac{\partial\mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi)}\delta(\partial_\mu\phi)\bigg\}\\
&=&\int d^4x\bigg\{\frac{\partial\mathcal{L}}{\partial\phi}\delta\phi-\partial_\mu\bigg(\frac{\partial\mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi)}\bigg)\delta\phi+\partial_\mu\bigg(\frac{\partial\mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi)}\delta\phi\bigg)\bigg\} 
\end{eqnarray}
}
(2.2)

「以上説明したように、(2.2)式の最終行の第3項は、ガウスの発散定理により、積分の4次元時空領域の境界上の面積分に変えることができます」

ガウスの発散定理
{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\int_V \mathrm{div} {\bf{A}}dv=\int_SA_ndS
\end{eqnarray}
}

「でも、 \mathrm{div}なんて、(2.2)式のどこにも書いてないじゃないの?」
 一宮が不審そうな顔で訊ねる。
 \mathrm{div} {\bf{A}}は、ベクトル場 \bf{A}の発散(divergence)と呼ばれるスカラー場であり、例えば、 {\bf{R}}^3で定義された滑らかなベクトル場を {\bf{A}}=(A_1, A_2, A_3)とすると、次のように表される量です」

ベクトル場 \bf{A}の発散(divergence)
{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\mathrm{div} {\bf{A}}=\frac{\partial A_1}{\partial x}+\frac{\partial A_2}{\partial y}+\frac{\partial A_3}{\partial z}
\end{eqnarray}
}

「(2.2)式の問題の項には、ある \muについての微分 \partial_\muしかないように思えますが、実際には、全ての \muについての和をとっています。前々回、変分の計算で、次のような全微分の関係式が成り立つという話をしたことを思い出してください( {\bf{R}}^3の場合)」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
df=\frac{\partial f}{\partial x}dx+\frac{\partial f}{\partial y}dy+\frac{\partial f}{\partial z}dz=\Sigma_{\xi=x, y, z}\frac{\partial f}{\partial \xi}d\xi
\end{eqnarray}
}

「(2.2)式の第2行の第2項において、上の式の \xiに相当するのが、 \partial_\mu\phiであり、上式が \xiについての和の形で表されるように、(2.2)式の第2行の第2項も、4次元の時空間 \muについての和の形になっています。だから、問題の項もdivの形をしているのです」
「それなら、どうして \muについての和の形で書かないのよ?」
「おそらく、このテキストの著者は、『アインシュタインの縮約記法』のつもりで、 \muについての和を省略したのだと思います」
アインシュタインの縮約記法?」
アインシュタインの縮約記法については後でじっくり説明します。すみませんが、しばらくの間、我慢しておいてください」
 一宮が不満そうに頬を膨らませた。

「というわけで、(2.2)式の最終行の第3項は、 \muについての和の形になっているため、ガウスの発散定理を使うことができ、4次元の時空間の領域中における体積積分は、領域表面の面積積分に置き換えることができます」

4次元の時空間の領域中の体積積分
 ↓ ガウスの発散定理
領域表面の面積積分に置き換わる

「ところで、このテキストでは、考えている系が任意の始状態から任意の終状態に発展するものと仮定しているので、時間の最初と最後で、場の変動 \delta\varphiがゼロになるものと考えることができます。同様に、領域の空間的な境界においても、場の変動が \delta\varphiがゼロになるものと考えると、(2.2)式の面積積分の項もゼロになります。したがって、(2.2)式は次のようになります」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
0&=&\int d^4x\bigg[\frac{\partial\mathcal{L}}{\partial\phi}-\partial_\mu\bigg(\frac{\partial\mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi)}\bigg)\bigg]\delta\phi
\end{eqnarray}
}
(2.2)

「ここで、任意の \delta\varphiに対して、右辺の積分がゼロになることから、大括弧[]内の式がゼロであることが分かります。そこで、大括弧[]内の式をゼロとおくことによって、場の運動を表すオイラーラグランジュ方程式を導き出すことができます」

オイラーラグランジュ方程式(場の方程式)
{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
 \partial_\mu\bigg(\frac{\partial\mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi)}\bigg)-\frac{\partial\mathcal{L}}{\partial\phi}&=&0
\end{eqnarray}
}
(2.3)

「なお、ラグランジアンが2以上の場を含むときは、それぞれの場について、このような方程式が存在することに注意してください」