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スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

表面項とは

「下のような変換によっても運動方程式が不変に保たれるとき、このような変換を『対称性』と呼ぶことをお話しました」

式(2.9)の変換によっても運動方程式が不変に保たれる→このような変換を対称性と呼ぶ
{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\phi(x)\rightarrow\phi^\prime(x)=\phi(x)+\alpha\Delta\phi(x)
\end{eqnarray}
}
(2.9)

「ところで、運動方程式は、最小作用の原理によって作用から導き出すことができます。そのため、作用が不変になる(2.9)式のような変換があれば、その変換に対しては運動方程式も不変になることがわかります」

運動方程式最小作用の原理により作用から導き出すことができる
 ↓
作用が不変になる(2.9)式のような変換があれば、その変換に対しては運動方程式も不変になる

「そこで、運動方程式ではなく、作用が不変になるような変換を見つけることを考えてみます。このような変換としては、一般的に、表面項(surface term)の変換があります」
「表面項?」
 一宮が首を傾げた。
「以前、オイラーラグランジュ方程式(2.3)を導き出すときに、下の第3項がガウスの発散定理を用いて、表面積分に変形できるという話をしたと思います」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
0&=&\delta S\\
&=&\int d^4x\bigg\{\frac{\partial\mathcal{L}}{\partial\phi}\delta\phi-\partial_\mu\bigg(\frac{\partial\mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi)}\bigg)\delta\phi+\partial_\mu\bigg(\frac{\partial\mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi)}\delta\phi\bigg)\bigg\} 
\end{eqnarray}
}
(2.2)

「この表面積分という言葉から、このテキストでは、この第3項を『表面項(surface term)』と呼んでいるみたいです」
「ちょっといくらなんでも、はしょりすぎじゃないの! 大体、超能力者でもないのに、そんなこと分かるわけないでしょ!」
 一宮は顔を真っ赤にして怒った。
「こんなにはしょりすぎたら、著者の奥さんでも分からないわよ!」

 いや、著者の奥さんは全然関係ないだろ。

「この表面項 \partial_\mu\big(\frac{\partial\mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi)}\delta\phi\big)ですが、以前もお話したように、表面において値がゼロになってしまうため、オイラーラグランジュ方程式(2.3)の導出には全く影響ありませんでした」

オイラーラグランジュ方程式
{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
 \partial_\mu\bigg(\frac{\partial\mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi)}\bigg)-\frac{\partial\mathcal{L}}{\partial\phi}&=&0
\end{eqnarray}
}
(2.3)

「これは逆に考えると、表面項 \partial_\mu\big(\frac{\partial\mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi)}\delta\phi\big)を自由に変換しても、運動方程式であるオイラーラグランジュ方程式は不変に保たれるということを意味します」

表面項 \partial_\mu\big(\frac{\partial\mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi)}\delta\phi\big)オイラーラグランジュ方程式の導出に全く影響しない
 ↓
表面項 \partial_\mu\big(\frac{\partial\mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi)}\delta\phi\big)を自由に変換しても、オイラーラグランジュ方程式は不変に保たれる

「そこで、作用が不変に保たれるような変換として、この表面項の変換に着目するというわけです。以上が大まかな方針です」