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スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

無限小の平行移動

「ネーターの定理は、平行移動や回転のような時空間の変換にも適用することができます。無限小の平行移動は次のように書けます」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
x^\mu\rightarrow x^\mu-a^\mu
\end{eqnarray}
}

「上式は、4次元時空間上の位置座標 x^{\mu}から無限小の距離 \alpha^\muだけ移動することを意味します。また、無限小の平行移動は、場\phiの変換として、次のように書くこともできます」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\phi(x)\rightarrow \phi(x+a)=\phi(x)+a^\mu\partial_\mu\phi(x).
\end{eqnarray}
}

「どうしてそうなるのよ?」
 一宮が首を傾げた。
 aは無限小の量なので、以前お話ししたテイラー展開で近似することができるのです」

テイラー展開(Taylor expansion)
{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
f(x')&=&\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(x'-a')^n}{n!}f^{(n)}(a')\\
&=&f(a')+f^{(1)}(a')(x'-a')+\frac{1}{2!}f^{(2)}(a')(x'-a')^2+\cdots+\frac{1}{n!}f^{(n)}(a')(x'-a')^n+\cdots
\end{eqnarray}
}

「実際、上のテイラー展開の式で、 f(x')\rightarrow \phi(x), x'\rightarrow x+a, a'\rightarrow xとおけば、次のようになります」


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\phi(x+a)&=&f(x)+\phi^{(1)}(x)a+\frac{1}{2!}\phi^{(2)}(x)a^2+\cdots+\frac{1}{n!}\phi^{(n)}(x)a^n+\cdots
\end{eqnarray}
}

「ここで、 aが無限小の量であることに着目すると、a^2以降の項は無視することができます。これは、例えば、 a=0.01のような小さな値を累乗すると、 a^2=0.0001, a^3=0.000001, a^4=0.00000001, \cdotsのように、次数の高い項ほど値が小さくなることからも分かると思います」

 a=0.01のような小さな値を累乗する
 ↓
{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
a^2&=&0.0001\\
a^3&=&0.000001\\
a^4&=&0.00000001\\
&\vdots&
\end{eqnarray}
}
(次数の高い項ほど値が小さくなって無視できる)

「そこで、テイラー展開の項を1次微分の項までとって、2次以上の項を切り捨てると、次のようになります」


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\phi(x+a)&=&\phi(x)+\phi^{(1)}(x)a.
\end{eqnarray}
}

「ここで、1階の微分 \phi^{(1)}(x)を4元ベクトルの1階微分 \partial_\mu\phi(x)に置き換え、無限小の量もa\rightarrow a^\muのように4元ベクトルに置き換えると、結局、次のようになります」


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\phi(x+a)&=&\phi(x)+a^\mu\partial_\mu\phi(x).
\end{eqnarray}
}

「この式の意味は、4次元時空間上の位置座標 x^{\mu}から無限小の距離 \alpha^\muだけ移動したとき、場の変動がa^\mu\partial_\mu\phi(x)だけ生じたことを表します」