複素数が実数となるための必要十分条件
「古典的なクライン−ゴルドン場は、次のようにフーリエ級数で表すことができることを前回お話しました」
「ここで、が実数となるように、ととることにします」
「なんでだと、が実数となるのよ?」
一宮が訊ねる。
「a, bを実数とすると、複素数zは、z=a+ibと表すことができます。このとき、zの複素共役は、となりますが、zが実数のときは、b=0なので、の関係が成り立ち、その逆も成り立ちます」
zが実数であるための必要十分条件
「でも、は、あくまでが実数となるための条件であって、が実数となるための条件じゃないでしょ?」
一宮がなおも食い下がった。
「たしかに、一宮さんがおっしゃるように、が実数であるための条件は、です。だから、の関係が成り立っているとき、本当にの関係が成り立っているのか、確かめる必要があります。そこで、を実際に計算してみます」
そういって、越野さんはマーカーペンを手にとった。
「はの複素共役なので、虚数をに置き換えるだけで得られます」
「ここで、の関係が成り立っているものとすれば、上式は次のように変形することができます」
「また、と積分変数を置き換えると、積分変数がとなってマイナスが出てきますが、積分範囲もとなって同じようにマイナスが出て来るので、結局、これらのマイナスは相殺して、となります」
「結局、となります。以上から、が成り立つとき、がたしかに実数となることが分かります」
→ は実数