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スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

複素数が実数となるための必要十分条件

「古典的なクライン−ゴルドン場は、次のようにフーリエ級数で表すことができることを前回お話しました」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\phi({\bf{x}},t)&=&\int\frac{d^3p}{(2\pi)^3}e^{i{\bf{p}}\cdot{\bf{x}}}\phi({\bf{p}}, t)
\end{eqnarray}
}

「ここで、 \varphi(x)が実数となるように、 \varphi^*(p)=\varphi(-p)ととることにします」
「なんで \varphi^*(p)=\varphi(-p)だと、 \varphi(x)が実数となるのよ?」
 一宮が訊ねる。
「a, bを実数とすると、複素数zは、z=a+ibと表すことができます。このとき、zの複素共役は、 z^*=a-ibとなりますが、zが実数のときは、b=0なので、 z^*=zの関係が成り立ち、その逆も成り立ちます」

zが実数であるための必要十分条件 \Longleftrightarrow z^*=z

「でも、 \varphi^*(p)=\varphi(-p)は、あくまで \varphi(p)が実数となるための条件であって、 \varphi(x)が実数となるための条件じゃないでしょ?」
 一宮がなおも食い下がった。
「たしかに、一宮さんがおっしゃるように、 \phi({\bf{x}},t)が実数であるための条件は、 \phi^*({\bf{x}},t)=\phi({\bf{x}},t)です。だから、 \varphi^*(p)=\varphi(-p)の関係が成り立っているとき、本当に \phi^*({\bf{x}},t)=\phi({\bf{x}},t)の関係が成り立っているのか、確かめる必要があります。そこで、 \phi^*({\bf{x}},t)を実際に計算してみます」
 そういって、越野さんはマーカーペンを手にとった。
 \phi^*({\bf{x}},t) \phi({\bf{x}},t)複素共役なので、虚数 i -iに置き換えるだけで得られます」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\phi^*({\bf{x}},t)&=&\int\frac{d^3p}{(2\pi)^3}e^{-i{\bf{p}}\cdot{\bf{x}}}\phi^*({\bf{p}}, t)
\end{eqnarray}
}

「ここで、 \varphi^*(p)=\varphi(-p)の関係が成り立っているものとすれば、上式は次のように変形することができます」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\phi^*({\bf{x}},t)&=&\int\frac{d^3p}{(2\pi)^3}e^{-i{\bf{p}}\cdot{\bf{x}}}\phi^*({\bf{p}}, t)\\
&=&\int\frac{d^3p}{(2\pi)^3}e^{-i{\bf{p}}\cdot{\bf{x}}}\phi({\bf{-p}}, t)
\end{eqnarray}
}

「また、 -p=p’積分変数を置き換えると、積分変数が d^3p=-d^3p’となってマイナスが出てきますが、積分範囲も \int_{\infty}^{-\infty}=-\int_{-\infty}^\inftyとなって同じようにマイナスが出て来るので、結局、これらのマイナスは相殺して、 \int_{\infty}^{-\infty} d^3p =\int_{-\infty}^\infty d^3p’となります」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\phi^*({\bf{x}},t)&=&\int\frac{d^3p'}{(2\pi)^3}e^{i{\bf{p’}}\cdot{\bf{x}}}\phi({\bf{p’}}, t)\\
&=&\phi({\bf{x}},t)
\end{eqnarray}
}

「結局、 \phi^*({\bf{x}},t)=\phi({\bf{x}},t)となります。以上から、 \varphi^*(p)=\varphi(-p)が成り立つとき、 \phi({\bf{x}},t)がたしかに実数となることが分かります」

 \varphi^*(p)=\varphi(-p) →  \phi({\bf{x}},t)は実数