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スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

クライン−ゴルドン粒子とは

「生成演算子 a_{\bf{p}}^\daggerは、真空状態 \mid 0\rangleに作用して、運動量 pおよびエネルギー \omega_{\bf{p}}=\sqrt{\mid{\bf{p}}|^2+m^2}をもった状態 a_{\bf{p}}^\dagger \mid0\rangleを生成します。この状態にさらに生成演算子 a_{\bf{q}}^\dagger等を作用させると、運動量 p+q+\cdotsおよびエネルギー\omega_{\bf{p}}+\omega_{\bf{q}}+\cdotsをもった状態を生成します。以上をまとめると、下のようになります」

 \mid 0\rangle:真空状態
 ↓生成演算子 a_{\bf{p}}^\daggerを作用させる
 a_{\bf{p}}^\dagger \mid0\rangle(エネルギー \omega_{\bf{p}}=\sqrt{\mid{\bf{p}}\mid^2+m^2}
 ↓さらに、生成演算子 a_{\bf{q}}^\dagger等を作用させる
 a_{\bf{p}}^\dagger a_{\bf{q}}^\dagger\cdots \mid 0\rangle(エネルギー\omega_{\bf{p}}+\omega_{\bf{q}}+\cdots

「これってつまり、生成演算子を作用させるごとに、運動量やエネルギーが段階的に増えていくわけ?」
 一宮の質問に、越野さんは頷いた。

生成演算子を作用させるごとに、運動量やエネルギーが段階的に増えていく

「それゆえ、これらクライン‐ゴルドン場が励起した状態を『粒子』と呼んでも、全く自然なように思われます。というのも、これらの励起状態は、 \omega_{\bf{p}}=\sqrt{\mid{\bf{p}}|^2+m^2}に示されるような適切な相対論的エネルギー・運動量関係を有する離散的な実体だからです。そして、クライン−ゴルドン場が励起してできた粒子を『クライン‐ゴルドン粒子(Klein-Gordon particle)』と呼びます」

クライン‐ゴルドン場が励起した状態
(相対論的エネルギー・運動量関係を有する離散的な実体)
 ↓
クライン−ゴルドン粒子(Klein-Gordon particle)

「つまり、エネルギーと運動量をもった離散的なつぶつぶだから、『粒子』と考えてもいいというわけね」
「ただし、誤解のないようにいっておきますが、この『粒子』は、空間内の小さな領域に存在する局所化された何らかの実体を表すものではありません。生成演算子 a_{\bf{p}}^\daggerは、あくまで運動量の固有状態を生成するものなのです」

クライン−ゴルドン粒子は、空間内の小さな領域に存在する局所化された実体を表すものではない

 一宮は腑に落ちないように首を傾げた。
「『粒子』なのに、空間の一点に存在する微小な実体を表すわけじゃないってわけ? なんだかわけがわからないわね」