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スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

ローレンツ変換とローレンツブーストの違い

「次に、規格化について考えてみます」
「規格化って何よ?」
 一宮が口を尖らせた。
「『規格化(normalization)』というのは、ベクトルに適当な定数をかけて、ベクトルの長さ(『ノルム(norm)』と呼びます)を1にする操作をいいます」

『規格化(normalization)』:ベクトルに適当な定数をかけて、ベクトルの長さ(『ノルム(norm)』)を1にする操作

「例えば、真空状態を表すベクトル \mid 0\rangleの場合、 \langle 0\mid0\rangle=1となるように、真空状態を規格化するのが自然であるといえます」

真空状態の規格化: \langle 0\mid0\rangle=1

「また、真空状態と同様に、1粒子状態 \mid{\bf{p}}\rangle\propto a_{\bf{p}}^\dagger\mid0\rangleもかなりしばしば現れるので、規格化のための規約を採用する価値があります。でも、(多くの教科書で使用されている)一番簡単な規格化 \langle p\mid q\rangle=(2\pi)^3\delta^{(3)}(p-q)は、ローレンツブーストに対して不変ではありません」

「ちょっと待って! ローレンツブーストって、ローレンツ変換とどう違うのよ?」
 一宮がいきなり片手を伸ばして、待ったのポーズをした。
 越野さんは一瞬、困惑したような表情を浮かべた。
ローレンツブースト(Lorentz boost)というのは、2つの慣性系に直交座標系x, y, zおよびx', y', z'をそれぞれ軸が互いに平行となるようにとり、x, x'の軸の方向が相対運動の方向、相対運動の速さをv、両座標系の時間をt, t'としたとき、次のような式で表されるような変換をいいます」


x方向へのローレンツブースト(Lorentz boost)
{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
x'=\frac{x-vt}{\sqrt{1-(v/c)^2}},\,\,\, y'=y, \,\,\,z'=z, \,\,\,t'=\frac{t-(v/c^2)x}{\sqrt{1-(v/c)^2}}
\end{eqnarray}
}

「また、『ローレンツ変換(Lorentz transformation)』は、ローレンツブーストに空間座標系のみの回転を加えたものです。ローレンツ変換は、4次元空間において、距離( s^2=(ct)^2-x^2-y^2-z^2)を不変に保つような変換であり、ローレンツブーストも距離 s^2を不変に保つ変換となります」

ローレンツ変換
4次元空間において、距離( s^2=(ct)^2-x^2-y^2-z^2)を不変に保つような変換
 ↓
ローレンツブーストも上の条件を満たす

「それゆえ、ローレンツブーストは、ローレンツ変換の一種であるといえます。私達が読んでいるこのテキストのような海外の教科書では、ローレンツ変換ローレンツブーストの区別が明確になされていますが、日本の教科書の場合、これらの区別がなされていないことが多いので、注意して読み進める必要があります」