スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

ローレンツ変換のユニタリ演算子による表現

「前回お話したように、ローレンツ変換 \Lambdaは、量子状態のヒルベルト空間において、ユニタリ演算子 U(\Lambda)として実行されます」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\mid{\bf{p}}\rangle=\sqrt{2E_{\bf{p}}}a_{\bf{p}}^\dagger\mid 0\rangle.
\end{eqnarray}
}
(2.35)

「また、規格化条件(2.35)式には、次のような意味があります」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
U(\Lambda)\mid{\bf{p}}\rangle=\mid\Lambda{\bf{p}}\rangle
\end{eqnarray}
}
(2.37)

「上式は、状態 |{\bf{p}}\rangleに、ユニタリ演算子 U(\Lambda)を作用させた結果、ローレンツ変換された状態 |\Lambda {\bf{p}}\rangleに変換されることを表します。また、ローレンツ変換を生成演算子 a_{\bf{p}}^\daggerに作用させるものと考えるのを好む場合は、次のように書くこともできます」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
U(\Lambda)a_{\bf{p}}^\dagger U^{-1}(\Lambda)&=&\sqrt{\frac{E_{\Lambda {\bf{p}}}}{E_{\bf{p}}}}a_{\Lambda{\bf{p}}}^\dagger.
\end{eqnarray}
}
(2.38)

「ちょっと待って! どうして、 U(\Lambda) U^{-1}(\Lambda)でサンドイッチされるのよ?」 
「例えば、演算子\mathcal{F}の固有状態を \mid n\rangleとして、左からユニタリ演算子 Uを作用させた場合を考えてみます。このとき、次のように式を変換することができます」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
U\mathcal{F}\mid n\rangle
=(U\mathcal{F} U^{-1})U \mid n\rangle=\mathcal{F}'U\mid n\rangle
\end{eqnarray}
}

「ここで、 \mathcal{F}'=U\mathcal{F}U^{-1}としました。このとき、 \mathcal{F}固有値 f_nとすると、上式から \mathcal{F}'U\mid n\rangle=U\mathcal{F}\mid n\rangle=Uf_n\mid n\rangle=f_nU\mid n\rangleであり、ユニタリ変換された状態 U\mid n\rangleは、 \mathcal{F}'固有ベクトルであり、その固有値 f_n \mathcal{F}固有値と同じであることがわかります。それゆえ、演算子\mathcal{F}のユニタリ変換は、 \mathcal{F}'=U\mathcal{F}U^{-1}の形で書くことができるのです」