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スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

空間的な伝搬粒子のクライン‐ゴルドン場の振幅の導出1

「次に、x-yが純粋に空間的な場合、すなわち、 x^0-y^0=0, x-y=rの場合を考えてみます。このとき、(2.50)式より振幅 D(x-y)は次のようになります」


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
D(x-y)&=&\int\frac{d^3p}{(2\pi)^3}\frac{1}{2E_{\bf{p}}}e^{-i{\bf{p}\cdot(\bf{x}-\bf{y})}}.
\end{eqnarray}
}
(2.50)


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
D(x-y)&=&\int\frac{d^3p}{(2\pi)^3}\frac{1}{2E_{\bf{p}}}e^{-i{\bf{p}\cdot(\bf{x}-\bf{y})}}\\
&=&\int\frac{d^3p}{(2\pi)^3}\frac{1}{2E_{\bf{p}}}e^{i{\bf{p}\cdot\bf{r}}}
\end{eqnarray}
}

「ちょっと待ってよ! どうして指数関数 e^{i\bf{p}\cdot\bf{r}}の肩の符号がマイナスじゃなくて、プラスになってるのよ!」
 一宮が、もの問いたげな目をして、越野さんに詰め寄った。

「これは普通の内積ではなくて、4元ベクトル {\bf{x}}=x^0-x^1-x^2-x^3内積を考えているためです。4元ベクトルでは、時間成分 x^0の符号はプラスになりますが、空間成分 x^1, x^2, x^3の符号はマイナスになるため、指数関数 e^{-i\bf{p}\cdot(\bf{x}-\bf{y})}の肩の符号のマイナスと4元ベクトルの空間成分 -(x^1-y^1)-(x^2-y^2)-(x^3-y^3)の符号とが打ち消しあって、プラスになるのです。だから、これは計算間違いではありません」

 一宮は押し黙ってしまった。当てが外れたのか、悔しそうな表情を浮かべている。
 どうせまた、ハーバード大学卒の教授のくせに計算間違いをしていたとか、鬼の首をとったようにいうつもりだったんだろう。
 ハーバード大学卒の教授の圧倒的な計算力の前では、しょせん女子高生など、無力な存在にすぎないということを骨の髄まで噛みしめるといい。
 悔しそうに唇を噛みしめる一宮の姿を見て、俺は内心悦に入った。