スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

超光速の空間的領域の因果律

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\big[\phi(x), \phi(y)\big] &=&\int\frac{d^3p}{(2\pi)^3}\frac{1}{\sqrt{2E_{\bf{p}}}}
\int\frac{d^3q}{(2\pi)^3}\frac{1}{\sqrt{2E_{\bf{q}}}}\\
&&\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,
\times\big[( a_{\bf{p}}e^{-ip\cdot x}+ a_{\bf{p}}e^{ip\cdot x}), (a_{\bf{q}}e^{-iq\cdot y}+ a_{\bf{q}}e^{iq\cdot y})\big]\\
&=&\int\frac{d^3p}{(2\pi)^3}\frac{1}{2E_{\bf{p}}}(e^{-ip\cdot (x-y)} -e^{ip\cdot (x-y)})\\
&=&D(x-y)-D(y-x).
\end{eqnarray}
}
(2.53)

「ここで、上の計算結果に基づいて、超光速の空間的領域の因果律について検討してみましょう。図2.4に示されるように、 (x-y)^2<0のとき、すなわち超光速の空間的領域内においては、(各項は独立にローレンツ不変であるため)第2項に (x-y)\rightarrow-(x-y)となるローレンツ変換を実行することができます」

f:id:Dreistein:20150620134018p:plain
図2.4: x-yが空間的なとき、 (x-y)から -(x-y)に連続的にローレンツ変換できる。

「どうしてそうなるのよ?」
 わけが分からないといったように、一宮が質問した。
ローレンツ変換は、4次元時空間内の回転とみなすことができます。それゆえ、空間的領域内においては、下図に示すように、 x点を始点として、 y点から -y点まで連続的に回転することができるのです」

f:id:Dreistein:20150621080340p:plain

ローレンツ変換は、4次元時空間内の回転
 ↓
空間的領域内では、 x点を始点として、 y点から -y点まで連続的に回転することができる

「それゆえ、2つの項 D(x-y) D(-(x-y))=D(y-x)は等しく、上の交換関係 \big[\phi(x), \phi(y)\big] は相殺してゼロになり、光円錐の外側の超光速領域においては、クライン‐ゴルドン理論におけるいかなる測定も他の測定に影響を与えないという結論が得られます。すなわち因果律が保たれるのです」

光円錐の外側(超光速領域):
クライン‐ゴルドン理論におけるいかなる測定も他の測定に影響を与えない
 ↓
因果律が保たれる