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スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

超光速の粒子と反粒子の関係


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\frac{1}{4\pi^2r}\int_m^\infty d\rho\frac{\rho e^{-\rho r}}{\sqrt{\rho^2-m^2}}\sim_{r\rightarrow \infty}e^{-mr}.
\end{eqnarray}
}
(2.52)

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\big[\phi(x), \phi(y)\big] &=&\int\frac{d^3p}{(2\pi)^3}\frac{1}{\sqrt{2E_{\bf{p}}}}
\int\frac{d^3q}{(2\pi)^3}\frac{1}{\sqrt{2E_{\bf{q}}}}\\
&&\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,
\times\big[( a_{\bf{p}}e^{-ip\cdot x}+ a_{\bf{p}}^\dagger e^{ip\cdot x}), (a_{\bf{q}}e^{-iq\cdot y}+ a_{\bf{q}}^\dagger e^{iq\cdot y})\big]\\
&=&\int\frac{d^3p}{(2\pi)^3}\frac{1}{2E_{\bf{p}}}(e^{-ip\cdot (x-y)} -e^{ip\cdot (x-y)})\\
&=&D(x-y)-D(y-x).
\end{eqnarray}
}
(2.53)

「ここで、第1項 D(x-y)は、 yから xへの粒子(または反粒子)の伝搬を表し、第2項 D(y-x)は、 xから yへの反粒子(または粒子)の伝搬を表すことは、前回お話しました」

 D(x-y) yから xへの粒子(または反粒子)の伝搬を表す
 D(y-x) xから yへの反粒子(または粒子)の伝搬を表す

「また、超光速の領域において、(2.53)式はゼロになります。これは、ある粒子の測定が、その反粒子の測定と不確定性関係による相関をもち、これらが互いに相殺し合ってゼロになることを示しています。したがって、上の(2.52)式と(2.53)式を厳密に解釈すれば、超光速の粒子が存在しないのではなく、単一粒子としては、超光速の粒子は存在するのですが、粒子とその反粒子不確定性原理による超光速の相関をもつため、これら超光速の粒子・反粒子の寄与がちょうど相殺し合ってゼロになるのです」

単一粒子としては、超光速の粒子は存在しうる((2.52)式)
 ↓
しかし、粒子とその反粒子とは、不確定性原理による超光速の相関をもつ((2.53)式)
 ↓
粒子・反粒子の寄与がちょうど相殺し合ってゼロになる

「つまり、超光速の粒子は存在するけど、粒子とその反粒子が(2.53)式に示されるような超光速の相関をもつから、粒子・反粒子の寄与がちょうど打ち消しあって、超光速の粒子が観測できなくなるというわけ?」
「そういうことになりますね。逆に考えると、反粒子の寄与が存在しなければ、(2.52)式の確率で超光速の粒子が観測されることになるともいえます」

反粒子の寄与が存在しなければ、(2.52)式の確率で超光速の粒子が観測される

「よく『反粒子は消えた』などと言われていますが、反粒子が本当に消えてしまったのなら、(2.53)式の交換関係がゼロにならないため、超光速の粒子があちこちで観測されているはずです」
「だが、超光速の粒子なんて、これまで1つも観測されていないじゃないか?」
 俺が指摘すると、越野さんは頷いた。
「だから、超光速の粒子が観測されないということは、その粒子の反粒子が(消えずに)宇宙のどこかに存在していることを、(2.53)式は示しているのです」

超光速の粒子が観測されない→その粒子の反粒子が宇宙のどこかに存在している

「つまり、超光速の粒子が観測されないという事実が、反粒子の存在を示しているってわけ? でも、これって逆に考えると、反粒子が存在しなければ、超光速の粒子が観測されるというわけね。それじゃ、反粒子の存在がタイムマシンの実現を妨げているんじゃない!」
 一宮は絶望したように大きくため息をついた。
「そういうことになりますね。ただし、上の結論は、あくまでクライン‐ゴルドン場の理論から導かれる結論であることに注意してください」