スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

超関数とは


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\partial^\mu\partial_\mu D_R(x-y)
&=&\big(\partial^\mu\delta(x^0-y^0)\big)\langle0\mid[\phi(x), \phi(y)]\mid0\rangle\\
&+&2\delta(x^0-y^0)\langle0\mid[\pi(x), \phi(y)]\mid0\rangle+0
\end{eqnarray}
}

「ここで、上式の1行目の右辺第1項の括弧()内を計算するため、デルタ関数 \delta(x^0-y^0)微分 \partial^\mu\delta(x^0-y^0)を計算する必要があります」
デルタ関数微分?」
 一宮は腑に落ちないような顔をして首を傾げた。
「でも、それってちょっとおかしくない。デルタ関数は下図のように、 x=0 x\neq 0で不連続なんだから、そもそも微分不可能じゃないの?」

f:id:Dreistein:20150418080340p:plain

「たしかに、デルタ関数は不連続なので、通常なら微分を定義することはできません。でも、そんな場合でも、超関数(distribution)による微分の定義を使えば、デルタ関数微分を計算することができるのです」
「超関数?」
「超関数は、『関数を超えた関数」、すなわち通常の関数を拡張した関数で、次のように定義されます」

超関数(distribution)
{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
T_f(\phi)&\equiv&\langle f, \phi\rangle=\int_{-\infty}^\infty f(x)\phi(x)dx
\end{eqnarray}
}

「ここで、 f(x)は超関数、 \phi(x)は試験関数と呼ばれる関数であり、 xの絶対値が十分に大きいときに、超関数 f(x)よりも急速に0に収束するような関数です」

 f(x):超関数(通常の関数を拡張した関数)
 \phi(x):試験関数( xの絶対値が十分に大きいときに、超関数 f(x)よりも急速に0に収束するような関数)