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スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

デルタ関数の微分を計算する方法

「それで、超関数を使ってどうやってデルタ関数微分を計算するのよ?」
 一宮は胡散臭そうな目をしながら越野さんに訊ねた。
デルタ関数微分を計算するには、次のような超関数を考えます」


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
T_{\partial^\mu\delta}(\phi)=\langle \partial^\mu\delta, \phi\rangle=\int_{-\infty}^\infty \partial^\mu\delta(x)\phi(x)dx
\end{eqnarray}
}

「ここで、微分の公式 \partial^\mu(fg)=(\partial^\mu f)g+f(\partial^\mu g)から (\partial^\mu f)g=\partial^\mu(fg)-f(\partial^\mu g)がいえるので、これを -\inftyから \inftyまで積分すると、次のような積分公式が得られます」


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
 \int_{-\infty}^\infty(\partial^\mu f)gdx&=&[fg]_{-\infty}^\infty-\int_{-\infty}^\infty f(\partial^\mu g)dx
\end{eqnarray}
}

「ここで、 f=\delta(x), g=\phi(x)とすると、次の関係が得られます」


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
 \int_{-\infty}^\infty(\partial^\mu\delta(x))\phi(x)dx&=&\bigg[\delta(x)\phi(x)\bigg]_{-\infty}^\infty-\int_{-\infty}^\infty \delta(x)(\partial^\mu \phi(x))dx
\end{eqnarray}
}

「この関係式を用いると、 T_{\partial^\mu\delta}(\phi)の式は次のように変形できます」


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
T_{\partial^\mu\delta}(\phi)&=&\langle \partial^\mu\delta, \phi\rangle=\int_{-\infty}^\infty \partial^\mu\delta(x)\phi(x)dx\\
&=&\bigg[\delta(x)\phi(x)\bigg]_{-\infty}^\infty-\int_{-\infty}^\infty \delta(x)(\partial^\mu \phi(x))dx
\end{eqnarray}
}

「ここで、試験関数\phi(x)は、 xの絶対値が十分に大きいときに急速に0に収束する関数なので、上式第2行目の右辺第1項はゼロとなります」


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
T_{\partial^\mu\delta}(\phi)&=&\langle \partial^\mu\delta, \phi\rangle=\int_{-\infty}^\infty \partial^\mu\delta(x)\phi(x)dx\\
&=&-\int_{-\infty}^\infty \delta(x)(\partial^\mu \phi(x))dx\\
&=&-\langle\delta, \delta^\mu\phi\rangle
\end{eqnarray}
}

「それゆえ、試験関数\phi(x)をいろいろな値にしても上の式が常に成り立つとき、デルタ関数微分には、次の関係が成り立つことがわかります」


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\partial^\mu\delta(x)\phi(x)&=&-\delta(x)(\partial^\mu \phi(x))
\end{eqnarray}
}

「あら、デルタ関数微分がなくなったわね」
 一宮が感心するように唸った。
「このように、デルタ関数 \delta(x)を試験関数\phi(x)とセットで取り扱うことによって、デルタ関数 \delta(x)微分の問題を、試験関数 \phi(x)微分の問題にすり替えることができるというわけです」

超関数による微分の定義
 ↓
デルタ関数 \delta(x)微分を試験関数\phi(x)微分に置き換えて計算することができる

「つまり、超関数を使えば、デルタ関数 \delta(x)微分を直接計算することなく、試験関数\phi(x)微分を計算することによって、デルタ関数 \delta(x)微分を求めることができるってわけね」