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スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

ファインマン処方の極の計算


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
D_F(x-y)&\equiv&\int\frac{d^4p}{(2\pi)^4}\frac{i}{p^2-m^2+i\epsilon}e^{-ip\cdot(x-y)},
\end{eqnarray}
}
(2.59)

「それじゃ、実際に上式の極を計算で確かめてみましょう。極は、上式の分母がゼロとなる条件から求めることができます」


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
p^2-m^2+i\epsilon&=&0
\end{eqnarray}
}

「ここで、4元運動量の内積の定義を用いると、 p^2は次のように変形することができます」

4元運動量の内積
{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
p^2=(p^0)^2-(p^1)^2-(p^2)^2-(p^3)^2=(p^0)^2-{\bf{p}}^2
\end{eqnarray}
}

「それゆえ、極 p^0を求める式は次のようになります」


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\big((p^0)^2-{\bf{p}}^2\big)-m^2+i\epsilon&=&0\\
(p^0)^2&=&{\bf{p}}^2+m^2-i\epsilon
\end{eqnarray}
}

「また、Einsteinの関係式 E_{\bf{p}}^2={\bf{p}}^2+m^2を用いると、上式は次のようになります」


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
(p^0)^2&=&({\bf{p}}^2+m^2)-i\epsilon=E_{\bf{p}}^2-i\epsilon\\
p^0&=&\pm\sqrt{E_{\bf{p}}^2-i\epsilon}\\
&=&\pm E_{\bf{p}}\sqrt{1-\frac{i\epsilon}{E_{\bf{p}}}}\\
&=&\pm E_{\bf{p}}\bigg(1-\frac{i\epsilon}{E_{\bf{p}}}\bigg)^{\frac{1}{2}}\\
&\simeq&\pm E_{\bf{p}}\bigg(1-\frac{i\epsilon}{2E_{\bf{p}}}\bigg)\\
&=&\pm \bigg(E_{\bf{p}}-\frac{i\epsilon}{2}\bigg)
\end{eqnarray}
}

「なお、 \epsilonは微小量を表しているため、途中で近似式 (1-x)^\alpha\simeq1-\alpha x xは微小量)を用いました。ちなみに、この近似式はTaylor展開の1次近似から簡単に導くことができます」

Taylor展開の1次近似
 (1-x)^\alpha\simeq1-\alpha x xは微小量)

「以上から、 p^2-m^2+i\epsilonの極は、 p^0=\pm \big(E_{\bf{p}}-\frac{i\epsilon}{2}\big)となることがわかりました」

 p^2-m^2+i\epsilonの極: p^0=\pm \big(E_{\bf{p}}-\frac{i\epsilon}{2}\big)

 一宮は、胡散臭そうな目でテキストをじっと見つめていた。
「なんか微妙にテキストの記載と違うわね。テキストでは、極は p^0=\pm( E_{\bf{p}}-{i\epsilon})になるんじゃなかったの?」

f:id:Dreistein:20150729053007p:plain

「たしかに、 i\epsilonに1/2の係数が付いている点で違いますね。でも、その程度の違いはささいな違いじゃないでしょうか?」
「こんなアバウトな計算で、よくハーバード大学を卒業できたわね!」