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スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

テンソルの添字の上げ下げと符号の関係

「でも、なんで E^i=-F^{0i}の上付き添字を下付き添字にすると、 E_i=F_{0i}のように符号がマイナスからプラスに反転するのよ?」
 一宮が訊ねた。
「通常、F^{\mu\nu}の上付き添字\mu\nuを下付き添字にするには、計量テンソルg_{\mu\mu}g_{\nu\nu}をかける必要がありますが、ミンコフスキー空間の計量テンソルの場合、添字 \mu, \nuのいずれか一方が0の場合と0以外の場合とで、符号が異なります」

ミンコフスキー空間の計量テンソル
{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
g_{\mu\nu}&=&\eta_{\mu\nu}\\
\eta_{00}&=&1, \eta_{11}=\eta_{22}=\eta_{33}=-1, \eta_{\mu\nu}=0 \,\,\,(\mu\neq\nu)
\end{eqnarray}
}

「例えば、 E^i=-F^{0i}の上付き添字を下付き添字にする操作は、ちょうど計量テンソル\eta_{00}\eta_{ii}(i\neq0)をかける操作に相当するため、\eta_{00}\eta_{ii}=1\times-1=-1となって、 E_i=F_{0i}のように符号が反転するのです」

 E^i=-F^{0i}
 ↓ \eta_{00}\eta_{ii}(i\neq0)=1\times-1=-1をかける
 E_i=F_{0i}

「一方、 \epsilon^{ijk}B^k=F^{ji}の上付き添字を下付き添字にする操作は、ちょうど計量テンソル\eta_{ii}\eta_{jj}(i, j\neq0)をかける操作に相当するため、\eta_{ii}\eta_{jj}=-1\times-1=+1となって、 \epsilon_{ijk}B_k=F_{ji}のように符号は反転しません」
「それじゃ、 F_0^{\,\,i}のように、上付き添字の一方だけ下付き添字にした場合はどうなるのよ?」
「その場合は、ちょうど計量テンソル\eta_{ii}(i\neq0)をかける操作に相当するため、\eta_{ii}=-1となって、 E_i=F^{0}_{\,\,i}のように符号が反転します。一方、0の上付き添字だけ下付き添字にする操作は、ちょうど計量テンソル\eta_{00}をかける操作に相当するため、\eta_{00}=+1となって、 E_i=-F_{0}^{\,\,i}のように符号が反転しません」

添字iを上付きから下付きに変える場合:
 E^i=-F^{0i}
 ↓ \eta_{ii}(i\neq0)=-1をかけるので符号が反転する
 E_i=F^0_{\,\,i}

添字0を上付きから下付きに変える場合:
 E^i=-F^{0i}
 ↓ \eta_{00}=+1をかけるので符号は反転しない
 E_i=-F_0^{\,\,i}

「ただし、上の関係はミンコフスキー空間において成り立つ関係であり、実際にはどのような空間の計量テンソルを考慮するかによって異なります。また、同じミンコフスキー空間でも、下のように\eta_{00}をマイナス符号、\eta_{ii}(i\neq0)をプラス符号と定義することもあるので注意してください」

ミンコフスキー空間の計量テンソル(別の定義)
{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
g_{\mu\nu}&=&\eta_{\mu\nu}\\
\eta_{00}&=&-1, \eta_{11}=\eta_{22}=\eta_{33}=1, \eta_{\mu\nu}=0 \,\,\,(\mu\neq\nu)
\end{eqnarray}
}