生成・消滅演算子で表した複素スカラー場の保存電荷2
「ここで、ハミルトニアンの計算と同様に、デルタ関数のフーリエ積分表示の関係を使います」
「すると、上式は次のようになります」
「ここで、デルタ関数について、のときのみ値が残りますが、このときとなります」
「どうして、と、とが等しいのよ?」
一宮が疑問を口にした。
「これは、エネルギー(自然単位系では、)がの絶対値の2乗で定まるためです。これは、(2.22)式の関係から導かれます」
(2.22)
「これは、粒子の運動エネルギーが粒子の運動の向きによらず、その運動の大きさのみに依存することからも明らかだと思います。したがって、保存電荷の式は、を含む項が消去され、を含む項が残るため、次のようになります」
生成・消滅演算子で表した複素スカラー場のハミルトニアン3
「ここで、は、のときにとなり、それ以外の値ではとなるというデルタ関数の性質から、上式の第3行目は、からの値のみが残ることがわかります。これから、の値を代入すると、第3行目のエネルギーの項は、となります」
デルタ関数の性質
「一方、アインシュタインの関係式をの自然単位系で表すと、となります。これから、となりますが、これは上式の第3行目のエネルギーの項と同じ形をしています。したがって、上式の第3行目の項は消去でき、第2行目の項のみが残ります」
「また、デルタ関数についても同様に、のときのみ値が残ることから、この関係を上式に代入すると、次のようになります」
「なお、途中の式変形において、アインシュタインの関係式を用いました」