スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧

スピノルとは

「外線は、4成分の列スピノルまたは行スピノルをあらわす」 「スピノル?」 「スピノル(spinor)は、ベクトルのように大きさと向きをもつ量で、スピン状態をあらわす。ベクトルの長さが座標系の回転によっても変わらないように、スピノルの大きさも座標系…

ガンマ行列とは

「ところで、こののって何よ?」 「は、4つ1組の4×4の行列で、ガンマ行列と呼ばれる」 「ガンマ行列?」 「ガンマ行列は、ディラック・パウリ行列を用いて次のように定義される」 ただし、 「ディラック・パウリの行列は、次のような4×4の行列であり、相対…

ベクトル粒子とは

「ファインマン図の各頂点は、相互作用ハミルトニアンに相当するが対応する。は4つ1組の4×4の行列で、2つのスピンの粒子をベクトル粒子に結合させて、角運動量を加える働きをする」 「ベクトル粒子って何よ?」 「ベクトル粒子とは、スピン量子数が1で…

プロパゲーターとは

「ファインマンズ図において、光子をあらわす内線にが対応する。これは、プロパゲーター(propagator、伝搬関数)と呼ばれ、ある時空間上の点に生じた粒子が、時空間上の他の点で観測される確率振幅をあらわす」 プロパゲーター(伝搬関数): ある時空間上…

計量テンソルとは

「また、ファインマン図において、光子をあらわす内線にが対応する。ここで、は、ミンコフスキー計量テンソルをあらわし、は、仮想光子の4元運動量をあらわす」 「ミンコフスキー計量テンソルって何よ?」 「おまえ、さっきから質問ばかりしているな」 俺が…

散乱への高次の摂動の寄与

散乱の微分断面積: 「1.8式と1.9式からもわかるように、散乱の微分断面積は角度に依存し、また、散乱の微分断面積と散乱断面積は、エネルギーの二乗に反比例することがわかる。そして、これらの計算結果は、実験結果と10%しか違わない」 「なによ、小難しい…

スピンを考慮した2粒子系の全散乱断面積

「これらの式から、は次のようになる」 「このを(1.1)式に代入すると、スピンを考慮した2粒子系の散乱の微分断面積が求められる」 散乱の微分断面積: 「ここで、(自然単位系では素電荷、は微細構造定数と呼ばれる)とした。上の式を角度変数とについて積…

Clebsch-Gordan係数とは

「次に、電子と陽電子のスピンの合成を考えると、のClebsch-Gordan係数があらわれる」 「くれぶすごるだん……係数?」 一宮が首を傾げる。 「Clebsch-Gordan係数は、角運動量を合成する際に得られる係数。ここで、電子および陽電子のスピン角運動量の大きさは…

縦偏極光子とは

「次に、電子と陽電子がいずれも進行方向に対して右回りのスピンを有する場合を考える」「このとき、電子と陽電子がいずれも進行方向に対して右回りのスピンを有することから、それぞれのz軸方向のスピン角運動量が互いに打ち消し合ってゼロになる。また、光…

スピンをもった2粒子系の散乱の遷移振幅の表式

「右回りのスピンを、左回りのスピンをとすると、電子と陽電子のスピンのセットからミュー粒子と反ミュー粒子のセットへの遷移振幅は、次のようにかける」 (1.6) 「どうして、遷移振幅の符号がマイナスになるのよ?」 「符号がマイナスになるのは、電子の電…

複素共役とは

(1.5) 「次に、(1.5)式の複素共役(ふくそきょうやく)をとると、次のようになる」 「複素共役?」 「複素共役とは、複素数に対して、その虚部の符号を入れ替えた複素数を求めること。もとの複素数をとすれば、その複素共役はで表す」 「どうして複素共役を…

3次元の回転行列

「結局、行列要素は、次のように、電荷の強さと回転分極ベクトルを用いて、次のようにかくことができる」 (1.4) 「次に、ミュー粒子の進行方向が、電子の進行方向に対して、xz平面上で角度だけ回転しているものとする」Fig.1.3 「ここで、平面内の角度の回転…

回転分極ベクトルとは

(1.3) 「次に、右側の行列要素について考える。相互作用ハミルトニアンは、電子と光子を電荷の強さで結合するエネルギーだから、行列要素は、電荷の強さに比例する。また、粒子は、進行方向に対して右回りか左回りのスピンをもつ」 「スピン?」 「スピンは…

4元ベクトルとは

(1.3) 「この隅っこに付いているは、なによ?」 一宮が尋ねる。 「は、相対論的な4元ベクトルをあらわす添え字。相対論では、1次元の時間成分と3次元の空間成分とを区別せず、時空間を一体のものと考えるから、時間の座標と空間の座標をひとまとめにして…

ファインマンルールとは

「ハミルトニアンは、一般化座標であらわした系の全エネルギーをあらわし、ハミルトニアンの相互作用部分は、一般化座標であらわした相互作用のエネルギーをあらわす。ここで、のは、相互作用(Interaction)の頭文字をとったもの」 ハミルトニアン:一般化…

ハミルトニアンとは

Fig.1.2 「ファインマンルールによると、外線(external lines)、内線(internal lines)および頂点(vertices)といったダイアグラムの各要素は、散乱振幅 への寄与に直接対応させることができる」 散乱の微分断面積: 「ここで、電子・陽電子の2粒子状態…

ファインマン・ダイアグラム

図1.1 散乱の微分断面積: 「上の式から、Mの値が分かれば、散乱の確率を知ることができます」 「Mはどんな値なの?」 「それは難しい問題ですね。残念ながらMの正確な値は分かりません」 「それじゃダメじゃないの」 一宮が詰問するように言う。 「そんなこ…

2粒子系の散乱の微分断面積の式(質量の寄与を無視できる場合)

散乱の微分断面積: 「散乱の微分断面積の式は以上ですが、この問題の場合、電子・陽電子およびミュー粒子・反ミュー粒子の運動エネルギーがそれらの質量よりもずっと大きいものと仮定しているため、Einsteinの関係からがいえます。また、粒子の散乱の前後で…