スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

オイラー・ラグランジュ方程式からマクスウェル方程式の導出4

「ここで、から、添字を入れ替えたとき」 「となって、は、添字の入れ替えに対して反対称となることが分かります。この関係を用いると、オイラー・ラグランジュ方程式の左辺第1項は次のようになります」 「以上をまとめると、オイラー・ラグランジュ方程式…

オイラー・ラグランジュ方程式からマクスウェル方程式の導出3

「次に、上式の括弧内の微分を計算してみましょう」 「ここで、はクロネッカーのデルタであり、のとき1、のとき0となる関数です。つまり、上式は、微分の分母と分子の添字が全て一致している場合にのみ、値が残るということになります」 クロネッカーのデル…

オイラー・ラグランジュ方程式からマクスウェル方程式の導出2

「次に、上式第2行目の第1項目の被微分関数が上付きの添字となっていることから、この微分計算ができるように、計量テンソルをつかって添字を上付きから下付きに変えたいと思います」 ルール:上下に同じ添字が現れたとき、これらの添字が打ち消しあって消…

テンソルの添字を上げ下げする方法

「次に、上式の左辺第1項を計算してみましょう」 「上のラグランジアン密度を上式の左辺第1項の大括弧()内に代入してみます」 「上の計算において、1行目から2行目の変形に積の微分法則を用いました。また、上式第2行目の第1項目の被微分関数が上付…

オイラー・ラグランジュ方程式からマクスウェル方程式の導出1

「上のラグランジアン密度を場の運動を表すオイラー・ラグランジュ方程式に代入することで、運動方程式を導くことができます」 オイラー・ラグランジュ方程式(場の方程式) (2.3) 「ただし、ここでは場の代わりに、要素を力学変数として扱います」 「ここで…

古典的な電磁気のラグラジアン密度

問題2.1「次に、テキストの演習問題を解いてみましょう。(源のない)古典的電磁気学は、以下の作用から導かれます」 「問題aとして、この作用のオイラー・ラグランジュ方程式としてマクスウェル方程式を導いてみましょう。ここで、ラグランジアン密度の作用…

クライン‐ゴルドン場の生成粒子数

(2.65) 「上の結果は、がモードの粒子を生成する確率密度と考えることによって、粒子の観点から解釈することができます」 :モードの粒子を生成する確率密度 「どうして確率密度にエネルギーが入っているのよ?」 一宮が訊ねる。 「これは、ローレンツ不変性…

ソースフィールドが作用した後のハミルトニアン

(2.64) 「ここで、が作用した後のハミルトニアンの形式を推測(または計算)することができます。ハミルトニアンは生成・消滅演算子で、次の(2.31)式のように表せることは以前お話しました」 (2.31) 「ここで、自然単位系ではからであり、また、第2項の零点…

遅延グリーン関数を用いた運動方程式の解の変形

(2.63) 「上式において、場の全てが過去にいくまで十分に待ったとき、階段関数は1になるため、を代入します。また、のフーリエ変換の式」 「を用いて、(2.63)式を変形してみます」 「ここで、は、のエルミート共役(Hermitian conjugate)をとったものです」…

4次元運動量と質量の関係式

(2.63) 「次に、のすべてが十分過去になるまで待ったとします。このとき、関数は、積分の全区間において1に等しくなるため、は、のフーリエ変換のみに関係します」 「上式は、となる4元運動量で評価されます」 「どうして、となるのよ? 運動量と質量が同じ…

遅延グリーン関数を用いた運動方程式の解2

「ちょっと待って!」 突然、一宮が待ったをかけた。 「そもそもどうして、(2.63)式の第1行目の式が成り立つのよ?」 (2.63) 「(2.63)式の第1行目ですが」と越野さんは言った。 「これは、(2.63)式の両辺に左側からを作用させることによって確認することが…

遅延グリーン関数を用いた運動方程式の解

「源である場がある場合、運動方程式の解は、遅延グリーン関数を用いて構成することができます」 (2.63) 「(2.63)式の第1行目から第2行目への変形は、(2.55)式と(2.54)式を代入することで簡単に導くことができます」 (2.55) (2.54)

古典的な源による粒子生成

「次に、外部の古典的な源である場と結合したクライン‐ゴルドン場を考えてみます。すなわち、次の(2.61)式のような場の方程式を考えてみましょう」 (2.61) 「ここで、は、有限の時間間隔でのみゼロとならない時空間の既知の関数とします。(2.61)式の場の方程…

クライン‐ゴルドン粒子のファインマンプロパゲーターとは

「(2.59)式と(2.60)式は、実用的な観点から、この章の最も重要な結果と考えることもできます」 (2.59) (2.60) 「は、伝播振幅を有することから、クライン‐ゴルドン粒子のファインマンプロパゲーター(伝播関数)と呼ばれます」 :クライン‐ゴルドン粒子のフ…

時間順序積とは

「次に、(2.60)式について考察してみます」 (2.60) 「(2.60)式の最後の行は、第2行目の2項を1項にまとめたもので、Tは、『時間順序(time-ordering)積』のTを表しています。このTは、左側の項が最も新しい時間になるように演算子を配置することを表しま…

クライン‐ゴルドン演算子のグリーン関数の導出

「それでは、具体的にを計算してみます」 (2.59) 「のとき、についての積分で積分経路を下から近づけることによって、(2.54)式を導いたのと同様の手順で、(2.50)式のを得ることができます」 (2.50) 「一方、のときは、についての積分で積分経路を上から近づ…

ファインマン処方を導入する理由

「ところで、そもそもなんでファインマン処方なんてものを導入したのよ?」 一宮がじろりと越野さんを睨み付けた。 「え? ファインマン処方を導入した理由ですか? そうですね……ファンマン処方がない場合、下図のように実軸上に極が位置するため、積分経路…

ファインマン処方の極の計算

(2.59) 「それじゃ、実際に上式の極を計算で確かめてみましょう。極は、上式の分母がゼロとなる条件から求めることができます」 「ここで、4元運動量の内積の定義を用いると、は次のように変形することができます」 4元運動量の内積 「それゆえ、極を求め…

ファインマン処方とは

「第4章では、極を別のやり方で処方することがとても有用です。このような処方は、ファインマン処方(Feynman prescription)と呼ばれます」 「ファインマン処方? ちょっと! このテキストには、『Feynman(ファインマン)』じゃなくて、『Feynmarc(ファイ…

p0積分の積分経路の4つのパターン

「次に、上式をについて変形すると、次のようになります」 「このようにして得られたの式をフーリエ変換すると、次の(2.58)式が得られます」 (2.58) 「(2.58)式の積分は、4つの異なる積分経路によって評価されます。それら4つの積分経路のうち、(2.54)式で…

クライン‐ゴルドン演算子のグリーン関数の運動量表示の関係式の導出

(2.54) 「ところで、以前求めた上の(2.54)式ですが、これはフーリエ変換によって導くこともできます。クライン‐ゴルドン演算子のグリーン関数の運動量空間における表示をフーリエ変換したものをとすると、次の(2.57)式のようになります」 (2.57) 「ここで、…

クライン‐ゴルドン演算子の遅延グリーン関数

(2.55) (2.56) 「ところで、は、『クライン‐ゴルドン演算子のグリーン関数(Green function)』と呼ばれる関数です。上の(2.55)式において、が階段関数(で1、で0となる関数)で表されていることからも分かるように、は、でゼロとなるため、これは『遅延グリ…

クライン‐ゴルドン場の交換関係の変形5

「次に、下の式の交換関係を計算してみましょう」 「ここで、下の(2.20)式から、交換関係が成り立ちますが、交換関係の左右の項を入れ替えると符号が入れ替わります」 (2.20) 「上式においてとを入れ替えても一般性は失われず、また、デルタ関数の原点に関す…

デルタ関数の微分計算の一例

「デルタ関数を試験関数とセットで取り扱うことによって、デルタ関数の微分の問題を、試験関数の微分の問題にすり替えることができます」 「ほんとにそんな小手先のテクニックで、デルタ関数の微分を計算できるの?」 胡散臭そうな目で一宮がいった。「そう…

デルタ関数の微分を計算する方法

「それで、超関数を使ってどうやってデルタ関数の微分を計算するのよ?」 一宮は胡散臭そうな目をしながら越野さんに訊ねた。 「デルタ関数の微分を計算するには、次のような超関数を考えます」 「ここで、微分の公式からがいえるので、これをからまで積分す…

超関数とは

「ここで、上式の1行目の右辺第1項の括弧()内を計算するため、デルタ関数の微分を計算する必要があります」 「デルタ関数の微分?」 一宮は腑に落ちないような顔をして首を傾げた。 「でも、それってちょっとおかしくない。デルタ関数は下図のように、と…

クライン‐ゴルドン場の交換関係の変形4

「ここで、上の3行目の式は、の形を有するため、クライン‐ゴルドン方程式の関係からゼロになることがわかります」 クライン‐ゴルドン方程式 (2.7) 「それゆえ、は次のようになります」 「また、階段関数を微分するとデルタ関数になります」 階段関数の微分→…

クライン‐ゴルドン場の交換関係の変形3

(2.55) 「ここで、(2.55)式の量を理解するために、を計算してみましょう。ちなみに、この計算は、に(2.7)式のクライン‐ゴルドン方程式の演算子を作用させるのと同じ計算です」 クライン‐ゴルドン方程式 (2.7) 「最初に、(2.55)式に基づいて、を計算してみま…

クライン‐ゴルドン場の交換関係の変形2

「一方、の場合は、全体の積分経路Cは、下図のように反時計回りになります」「このとき、積分経路Cは、極値を内部に含まないため、積分の値はゼロになります」 (2.54) 「それゆえ、(2.54)式の最後の行は、極のまわりを回る積分を表すとともに、のように表す…

留数定理による複素積分の計算

「次に、積分の被積分関数をとして、実際に、留数を求めてみましょう」 被積分関数 「は1位の極なので、留数は次の関係から求めることができます」 「として、上の関係式から留数を求めてみます」 「したがって、留数定理からの積分を求めることができます…