スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

散乱の微小確率とは

「以上から、粒子の散乱確率 d\sigmaは、ブラケットを用いて、次のように書くことができます」

散乱の微小確率: d\sigma\propto\frac{\mid\langle\,f\mid \hat{S} \mid i\,\rangle\mid^2}{\langle\,i \mid i\,\rangle} d\bf{p}d\bf{k}

「ここで、分子の \mid\langle\,f\mid \hat{S} \mid i\,\rangle\mid^2は、入射粒子が散乱されて終状態 \langle\,f\midに至る確率振幅の2乗をあらわします。また、分母の \langle\,i \mid i\,\rangleは、始状態 \mid i\,\rangle内積、すなわち入射粒子の確率振幅をあらわします」

分子 \mid\langle\,f\mid \hat{S} \mid i\,\rangle\mid^2:入射粒子が散乱されて終状態 \langle\,f\midに至る確率振幅の2乗
分母 \langle\,i \mid i\,\rangle:入射粒子の確率振幅

「入射粒子が散乱されて終状態 \langle\,f\midに至る確率振幅の2乗 \mid\langle\,f\mid \hat{S} \mid i\,\rangle\mid^2を入射粒子の確率振幅 \langle\,i \mid i\,\rangleで割るのは、入射粒子、すなわち電子e^-陽電子e^+一対当たりの散乱確率を求めることに相当します」

 \mid\langle\,f\mid \hat{S} \mid i\,\rangle\mid^2を入射粒子の確率振幅 \langle\,i \mid i\,\rangleで割る
 ↓
入射粒子、すなわち電子e^-陽電子e^+一対当たりの散乱確率を求めることに相当

「また、 d\bf{p}は、電子 e^-陽電子 e^+の運動量 \bf{p}, -\bf{p}の微小量をあらわし、 d\bf{k}は、ミュー粒子 \mu^-と反ミュー粒子\mu^+の運動量 \bf{k}, -\bf{k}の微小量をあらわします」

図1.1
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「ここで、 d\bf{p}および d\bf{k}dは、英語のdifferential(微分、差分)の略であり、これが物理量をあらわす文字の前につくと、微小量という意味をもちます」

 d\bf{p}:微少量の \bf{p}をあらわす

「つまり、上の式d\sigmaは、微小な運動量 d\bf{p}, -d\bf{p}をそれぞれ有する電子 e^-陽電子 e^+が入射して、散乱された結果、微小な運動量 \bf{k}, -\bf{k}をそれぞれ有するミュー粒子 \mu^-と反ミュー粒子\mu^+に至る粒子散乱の微小確率をあらわしたものといえるわけです」