散乱の微小確率とは
「以上から、粒子の散乱確率は、ブラケットを用いて、次のように書くことができます」
散乱の微小確率:
「ここで、分子のは、入射粒子が散乱されて終状態
に至る確率振幅の2乗をあらわします。また、分母の
は、始状態
の内積、すなわち入射粒子の確率振幅をあらわします」
分子
:入射粒子が散乱されて終状態
に至る確率振幅の2乗
分母:入射粒子の確率振幅
「入射粒子が散乱されて終状態に至る確率振幅の2乗
を入射粒子の確率振幅
で割るのは、入射粒子、すなわち電子
と陽電子
一対当たりの散乱確率を求めることに相当します」
を入射粒子の確率振幅
で割る
↓
入射粒子、すなわち電子と陽電子
一対当たりの散乱確率を求めることに相当
「また、は、電子
と陽電子
の運動量
の微小量をあらわし、
は、ミュー粒子
と反ミュー粒子
の運動量
の微小量をあらわします」
図1.1
「ここで、および
の
は、英語のdifferential(微分、差分)の略であり、これが物理量をあらわす文字の前につくと、微小量という意味をもちます」
:微少量の
をあらわす
「つまり、上の式は、微小な運動量
,
をそれぞれ有する電子
と陽電子
が入射して、散乱された結果、微小な運動量
,
をそれぞれ有するミュー粒子
と反ミュー粒子
に至る粒子散乱の微小確率をあらわしたものといえるわけです」