ローレンツ不変性とは
「ここで、相対論的な効果を考慮すると、規格化定数は、で表されます。であり、は電子(陽電子)の相対論的なエネルギーをあらわします。このような規格化は、ローレンツ不変性を満たすため、不変規格化と呼ばれます」
相対論的な効果を考慮した規格化定数:
(ただし、であり、は電子(陽電子)の相対論的エネルギー)
「ローレンツ不変性ってなによ?」
一宮が訊ねる。
「特殊相対性理論の基本的な原理に、どのような速度で動く観測者から見ても光の速度Cが常に一定(不変)となる光速度不変の原理が知られていますが、この原理を式であらわしたものが、ローレンツ変換です」
光速度不変の原理:どのような速度で動く観測者から見ても、光の速度Cが常に一定(不変)
↓
ローレンツ変換:光速度不変の原理を式であらわしたもの
「また、光速度だけでなく、物理法則なども、どのような速度で動く観測者から見ても常に一定(不変)なので、ローレンツ変換に対して不変な形を保ちます。このようなローレンツ変換に対して不変な形をもつ性質を、ローレンツ不変性(共変性)と呼びます」
「規格化は、粒子の存在確率が全空間で1(100%)にするためのものですが、止まっている観測者から見ても、動いている観測者から見ても、トータルで粒子を見出す確率は変化しないはずです。それゆえ、規格化定数もローレンツ不変性を満たす必要があるというわけです」
不変規格化:ローレンツ変換に対して不変になるように規格化すること
「要するに、相対性理論の効果を取り入れたってわけね」
石原は微笑んだ。
「そういうことです。そして、電子と陽電子と同様に、ミュー粒子と反ミュー粒子についても同様に規格化定数を定めると、結局、散乱の微小確率は次のようにかくことができます」
散乱の微小確率: