スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

スピンをもった2粒子系の散乱の遷移振幅の表式

「右回りのスピンを R、左回りのスピンを Lとすると、電子 e^-陽電子 e^+のスピンのセット RLからミュー粒子 \mu^-と反ミュー粒子 \mu^+のセット RLへの遷移振幅 M(RL\rightarrow RL)は、次のようにかける」

 M(RL\rightarrow RL)= \{-e(0, 1, i, 0)\}\cdot\{+e(0, \cos{\theta}, -i, -\sin{\theta})\}=-e^2(1+\cos{\theta}) (1.6)

「どうして、遷移振幅の符号がマイナスになるのよ?」
「符号がマイナスになるのは、電子の電荷 -eで、陽電子電荷 +eだから、これらの積をとって -e^2となるため。別に振幅そのものがマイナスになるわけではない」

電子の電荷 -e
陽電子電荷 +e
 ↓
電子と陽電子電荷の積:-e^2

「ここで、 \theta=180^\circにしたとき、 \cos{\theta}=-1となるから、遷移振幅 M(RL\rightarrow RL)はゼロになる。これはちょうど、電子 e^-が進む方向と、ミュー粒子 \mu^-が進む方向が正反対になるときに、散乱確率が0になることに相当する」

 \theta=180^\circのとき、 M(RL\rightarrow RL)=0

「これは、電子 e^-はz方向の角運動量をもち、ミュー粒子 \mu^-は-z方向の角運動量をもつことから、電子 e^-陽電子 e^+角運動量にオーバーラップする成分がないということと整合する」

図1.3
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「散乱前と散乱後でスピン角運動量が正反対だから、そのような散乱が起こる確率がゼロというわけね」