スピンをもった2粒子系の散乱の遷移振幅の表式
「右回りのスピンを、左回りのスピンをとすると、電子と陽電子のスピンのセットからミュー粒子と反ミュー粒子のセットへの遷移振幅は、次のようにかける」
(1.6)
「どうして、遷移振幅の符号がマイナスになるのよ?」
「符号がマイナスになるのは、電子の電荷がで、陽電子の電荷がだから、これらの積をとってとなるため。別に振幅そのものがマイナスになるわけではない」
「ここで、にしたとき、となるから、遷移振幅はゼロになる。これはちょうど、電子が進む方向と、ミュー粒子が進む方向が正反対になるときに、散乱確率が0になることに相当する」
のとき、
「これは、電子はz方向の角運動量をもち、ミュー粒子は-z方向の角運動量をもつことから、電子と陽電子の角運動量にオーバーラップする成分がないということと整合する」
図1.3
「散乱前と散乱後でスピン角運動量が正反対だから、そのような散乱が起こる確率がゼロというわけね」