スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

散乱への高次の摂動の寄与

散乱の微分断面積:
{ \displaystyle
\frac{d\sigma}{d\Omega}=\frac{\alpha^2}{4E_{\rm cm}^2}(1+\cos^2{\theta}) \,(1.8)
}


{ \displaystyle
\sigma_{\rm total}=\frac{4\pi\alpha^2}{3E_{\rm cm}^2} (1.9)
}

「1.8式と1.9式からもわかるように、散乱の微分断面積 \frac{d\sigma}{d\Omega}は角度 \thetaに依存し、また、散乱の微分断面積 \frac{d\sigma}{d\Omega}と散乱断面積 \sigma_{\rm total}は、エネルギー E_{\rm cm}の二乗に反比例することがわかる。そして、これらの計算結果は、実験結果と10%しか違わない」
「なによ、小難しい計算を延々と続けた割には、10%も実験結果と食い違うわけ?」
 一宮が皮肉たっぷりにいう。
「10%の違いは、図1.4に示すような高次の摂動項の影響を省いたことに起因する」

図1.4
f:id:Dreistein:20141119051244p:plain

「図1.4は、 e^+e^-\rightarrow\mu^+\mu^-の散乱断面積において、微細構造定数 \alpha=e^2/4\piの3乗の項( \alpha^3)に寄与するファインマン・ダイアグラムを示す。 \alpha^2の場合と比べ、内線または外線が1本だけ増えているのが分かる」