変換と対称性
「次は、古典場の対称性と保存則との間の関係についてお話します。これはネーターの定理(Norther's theorem)にまとめられます」
「ネーターの定理?」
「ネーターの定理は、次のような場における連続な変形に関するものです」
(2.9)
「ここで、は微小な量を表すパラメーターであり、は変換される場の量を表します。つまり、上の式は、場が微小量だけ変換されたことを表します。ここで、上のような変換によっても運動方程式が不変に保たれるとき、このような変換を『対称性』と呼びます」
「なんで運動方程式を不変に保つような変換が、対称性になるのよ?」
「例えば、円の中心のまわりに円を回転させても、円の形が変化することはありませんよね。このとき、円の回転という変換は、円の形を不変に保つことから、円対称性があります」
円の中心のまわりに円を回転させても、円の形が変化せず不変に保たれる(円対称性)
「円の中心のまわりに円を回転させても、円の形が不変に保たれるということは、円の『見え方』が保存されると考えることもできます」
円の中心のまわりに円を回転させても、円の形が不変に保たれる
↓
円の『見え方』が保存される
「また、無限の長さの直線を直線の方向に平行移動させても、直線の形が変化することはありません。このとき、直線の平行移動は、直線の形を不変に保つため、この場合も対称性があることになります」
無限の長さの直線を直線の方向に平行移動させても、直線の形が変化せず不変に保たれる(対称性がある)
「この場合も、無限の長さの直線を直線の方向に平行移動させても、直線の形が不変に保たれるということは、直線の『見え方』が保存されると考えることもできます」
無限の長さの直線を直線の方向に平行移動させても、直線の形が不変に保たれる
↓
直線の『見え方』が保存される
「ただし、ここでの変換は、あくまで『連続的な微小量の変換』であることに注意してください。連続的な微小量の回転によっても運動方程式の形が変わらないような変換を対称性と呼ぶのです」