スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

チェインルールとは

「次に、ラグランジアン \mathcal{L}の微小な変化 \Delta Lを求めてみます。ラグランジアン \mathcal{L}は次のように、場 \phiの項と場の微分 \partial_\mu\phiの項の2つからなることは、以前もお話しました」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\mathcal{L}=\frac{1}{2}(\partial_\mu\phi)^2-\frac{1}{2}m^2\phi^2
\end{eqnarray}
}

「そのため、ラグランジアンの微小変化 \alpha\Delta\mathcal{L}は、次のように書くことができます」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\alpha\Delta\mathcal{L}&=&\frac{\partial\mathcal{L}}{\partial\phi}(\alpha\Delta\phi)+\bigg(\frac{\partial\mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi)}\bigg)\partial_\mu(\alpha\Delta\phi)
\end{eqnarray}
}

「なんでそんな風にかけるのよ?」
 一宮が訊ねる。
「この式は、物理的には下のような構造をもちます」

 \mathcal{L}の微小変化)=
\phiの変化に対する\mathcal{L}の変化の割合)×( \phiの微小変化)+(\partial_{\mu}\phiの変化に対する\mathcal{L}の変化の割合)×( \partial_{\mu}\phiの微小変化)

「上式の右辺の第1項は、場 \phiの項の微小変化 \alpha\Delta \phiを通じた \mathcal{L}の微小変化を表し、第2項は、場の微分 \partial_\mu\phiの項の微小変化 \partial_\mu(\alpha\Delta\phi)を通じた \mathcal{L}の微小変化を表します。これは、ラグランジアン \mathcal{L}が、場 \phiの項と場の微分 \partial_\mu\phiの項の2つの項からなるためです」

ラグランジアン \mathcal{L}は、場 \phiの項と場の微分 \partial_\mu\phiの項の2つの項からなる
 ↓
 \mathcal{L}の微小変化には、以下の2種類の微小変化が考えられる
(1) 場 \phiの項の微小変化 \alpha\Delta \phiを通じた \mathcal{L}の微小変化
(2) 場の微分 \partial_\mu\phiの項の微小変化 \partial_\mu(\alpha\Delta\phi)を通じた \mathcal{L}の微小変化

「また、 \frac{\partial Y}{\partial X}は、 Xの変化に対する Yの変化の割合を表すことを覚えておくと、式のイメージが掴みやすいので便利です」

 \frac{\partial Y}{\partial X} Xの変化に対する Yの変化の割合

「この関係を用いて、変数 X_1, X_2, \cdots, X_nの微小変化を通じた Yの微小変化は、次のように書くことができます」

 dY=\frac{\partial Y}{\partial X_1}dX_1+\frac{\partial Y}{\partial X_2}dX_2+\cdots+\frac{\partial Y}{\partial X_n}dX_n

「このような偏微分の関係は、あたかも変数 X_1, X_2, \cdots, X_nが鎖のようにつながっているので、『連鎖律』(chain rule、チェインルール)とも呼ばれますが、チェインルールは、機械的に覚えるのではなく、このように物理的な意味を考えながら式を導くと、物理的な理解が深まります」