チェインルールとは
「次に、ラグランジアンの微小な変化を求めてみます。ラグランジアンは次のように、場の項と場の微分の項の2つからなることは、以前もお話しました」
「そのため、ラグランジアンの微小変化は、次のように書くことができます」
「なんでそんな風にかけるのよ?」
一宮が訊ねる。
「この式は、物理的には下のような構造をもちます」
(の微小変化)=
(の変化に対するの変化の割合)×(の微小変化)+(の変化に対するの変化の割合)×(の微小変化)
「上式の右辺の第1項は、場の項の微小変化を通じたの微小変化を表し、第2項は、場の微分の項の微小変化を通じたの微小変化を表します。これは、ラグランジアンが、場の項と場の微分の項の2つの項からなるためです」
ラグランジアンは、場の項と場の微分の項の2つの項からなる
↓
の微小変化には、以下の2種類の微小変化が考えられる
(1) 場の項の微小変化を通じたの微小変化
(2) 場の微分の項の微小変化を通じたの微小変化
「また、は、の変化に対するの変化の割合を表すことを覚えておくと、式のイメージが掴みやすいので便利です」
:の変化に対するの変化の割合
「この関係を用いて、変数の微小変化を通じたの微小変化は、次のように書くことができます」
「このような偏微分の関係は、あたかも変数が鎖のようにつながっているので、『連鎖律』(chain rule、チェインルール)とも呼ばれますが、チェインルールは、機械的に覚えるのではなく、このように物理的な意味を考えながら式を導くと、物理的な理解が深まります」