スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

複素スカラー場のネーターカレントの導出

「次に、複素スカラー場のネーターカレントを導いてみます」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\alpha\Delta\phi&=&i\alpha\phi;\,\,\,\,\,\,\,\,\,\alpha\Delta\phi^*=-i\alpha\phi^*
\end{eqnarray}
}
(2.15)

「ここで、 \varphiおよび \varphi^*は独立な場として扱います。また、これらは \varphiの実数および虚数部分と扱うこともできます。この場合、以前求めた(2.12)式において、 \varphiの項の他に、 \varphi^*の項も考える必要があります」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\partial_\mu j^\mu(x)=0, \,\,\,\,\,\,\,\,\,\, \mathrm{for}\,\,\,\,\,\, j^\mu(x)=\frac{\partial \mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi)}\Delta\phi-\mathcal{J}^\mu
\end{eqnarray}
}
(2.12)

 \varphi^*の項も考慮すると、(2.12)式は次のようになります」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\partial_\mu j^\mu(x)=0, \,\,\,\,\,\,\,\,\,\, \mathrm{for}\,\,\,\,\,\, j^\mu(x)=\frac{\partial \mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi)}\Delta\phi+\frac{\partial \mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi^*)}\Delta\phi^*-\mathcal{J}^\mu
\end{eqnarray}
}
(2.12)'

「また、\mathcal{L}が保存されるとき、(2.10)式から \mathcal{J}^\mu(x)=0となります」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\mathcal{L}(x)\rightarrow\mathcal{L}(x)+\alpha\partial_\mu\mathcal{J}^\mu(x)
\end{eqnarray}
}
(2.10)

「それゆえ、上の(2.12)'式の \mathcal{J}^\muの項もゼロになります。ここで、(2.14)式の複素数場のラグランジアン \mathcal{L}を次のように変形してみます」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\mathcal{L}&=&|\partial_\mu\phi|^2-m^2|\phi|^2\\
&=&(\partial^\mu\phi^*)(\partial_\mu\phi)-m^2\phi^*\phi\\
&=&(\partial^\mu\phi)(\partial_\mu\phi^*)-m^2\phi\phi^*
\end{eqnarray}
}
(2.14)

「このようにして変形した式を(2.12)'式に代入すると、複素スカラー場のネーターカレントは次のようになります」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
j^\mu(x)&=&\frac{\partial \mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi)}\Delta\phi+\frac{\partial \mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi^*)}\Delta\phi^*\\
&=&(\partial^\mu\phi^*)i\phi-(\partial^\mu\phi)i\phi^*\\
&=&i[(\partial^\mu\phi^*)\phi-\phi^*(\partial^\mu\phi)].
\end{eqnarray}
}
(2.16)

「ここで、全体の定数は任意の値をとります。また、クライン−ゴルドン方程式を用いて、このカレントの発散が消滅することを直接確かめることもできます。なお、このテキストでは後ほど、この複素ラグランジアンに場 \varphiを電磁場と結合させる項を加えるとのことです。そこで、 j^{\mu}を場によって運ばれる電磁場の電流密度、その空間積分 j^0電荷と解釈することにします」

 j^{\mu}:電磁場の電流密度
 j^{\mu}の空間積分 j^0電荷