自由度とは
「前回、正準交換関係は下のようになることを以前お話しました。ここでは、自然単位系を用いているので、プランク定数となっていることに注意してください」
「この式では、クロネッカーのデルタが用いられていますが、これはが同一(の場合)にのみとなって、位置と運動量の不確定性関係(Heisenbergの不確定性関係)が成り立つことを意味しています(の場合は、)」
「って何よ?」
一宮がホワイトボードを指さした。
「は自由度を表します」
「自由度?」
「自由度とは、力学系において、独立に変化しうる座標の数をいいます」
自由度とは、力学系において、独立に変化しうる座標の数
「例えば、は、それぞれ1番目の粒子の座標を表し、は、それぞれ2番目の粒子の座標を表す、といったように座標を割り振ることができます。また、考えている系が1次元系の場合は、は、それぞれ1,2,3番目の粒子の座標を表す、というように座標を割り振ります」
考えている系によって、自由度は異なる
(1) →1番目の粒子の座標、→2番目の粒子の座標
(2) 1次元系の場合:→1,2,3番目の粒子の座標など
「ここで、が同一(の場合)にのみ、となるということは、同一の粒子の同一座標(x座標など)についてのみ、位置と運動量の不確定性関係(Heisenbergの不確定性関係)が成り立ち、異なる粒子、あるいは、同一の粒子であっても異なる座標については、Heisenbergの不確定性関係は成り立たないということを意味しています」
同一の粒子の同一座標(x座標など)についてのみ、位置と運動量の不確定性関係(Heisenbergの不確定性関係)が成り立つ
「ところで、量子場の理論では、連続的な場を考えるので、離散的なクロネッカーのデルタの代わりに、連続的なデルタ関数を用いて正準交換関係を書き換えます」
「ここで、は、例えば、などの座標を表します。デルタ関数を用いると、連続的な正準交換関係は次のようになります」
(2.20)
「ここで、は運動量密度であり、運動量に相当する量です」