生成・消滅演算子をクライン−ゴルドン場とその運動量密度で表現した式の導出
(2.31)
「クライン−ゴルドン場のハミルトニアンの簡潔な式を導くのに、などの関係が成り立つものと仮定しました」
「ちょっと。どうしてそんな関係が成り立つのよ? 納得いかないわね」
一宮の問いかけに、越野さんはしばしの間、考え込んだ。
「それでは、上のような関係が本当に成り立つかどうか計算で確めてみましょう。以前、とを生成演算子と消滅演算子で表現できることをお話しましたよね」
(2.25)
(2.26)
「これらの式から、生成演算子と消滅演算子をとで表現した式を導いてみます。そこで、(2.25)式と(2.26)式の両辺にそれぞれ、およびをかけて、次のように変形します」
(2.25)'
(2.26)'
「次に、(2.25)'式および(2.26)'式の辺々を足し合わせると、次の式が得られます」
「上の式の両辺に、をかけて、で積分すると、次のようになります」
「ここで、右辺の積分を計算するため、下のような指数関数の積分とデルタ関数との関係を用いると、上式の右辺の値は、に等しくなることが分かります」
「したがって、次の式が成り立ちます」
「ここで、置くと、次の式が得られます」
「ただし、前回説明したの関係を用いました。また、上式のエルミート共役をとれば、生成演算子の関係も求められます」