スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

ローレンツ不変3元運動量積分公式の導出

「以上述べたローレンツ不変規格化においては、他の場所において 2E_pで割る必要があります。例えば、1粒子状態の完備関係式は、次のようになります」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
(1)_{\textrm{1-particle}}=\int\frac{d^3p}{(2\pi)^3}|{\bf{p}}\rangle\frac{1}{2E_{\bf{p}}}\langle {\bf{p}}|.
\end{eqnarray}
}
(2.39)

「(2.39)式において、左辺の演算子は、1粒子状態の部分空間内の恒等演算子であり、ヒルベルト空間の残りの部分空間においてゼロとなります。この式の積分は頻繁に行われます。そこで、次のような積分を考えてみます」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\int\frac{d^3p}{(2\pi)^3}\frac{1}{2E_{\bf{p}}}=\int\frac{d^4p}{(2\pi)^4}(2\pi)\delta(p^2-m^2)\big|_{p^0>0}
\end{eqnarray}
}
(2.40)

「どうしてそんな式が成り立つのよ?」
「右辺のδ関数 \delta(p^2-m^2)を計算してみます。 p^2={p^0}^2-{\bf{p}}^2のように、運動量p^2を時間成分{p^0}^2と空間成分 {\bf{p}}^2に分けて考えます。ここで、Einsteinの関係式 E_{\bf{p}}=\sqrt{|p|^2+m^2}を用いると、δ関数 \delta(p^2-m^2)は、次のようになります」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\delta(p^2-m^2)&=&\delta({p^0}^2-{\bf{p}}^2-m^2)\\
&=&\delta({p^0}^2-E_{\bf{p}}^2)
\end{eqnarray}
}

「次に、以下のようなδ関数の公式を用います」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\delta(x^2-a^2)&=&\frac{1}{2|a|}\{\delta(x-|a|)+\delta(x+|a|)\}
\end{eqnarray}
}

「上の公式を用いると、δ関数 \delta(p^2-m^2)は、次のようになります]

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\delta(p^2-m^2)&=&\delta({p^0}^2-{\bf{p}}^2-m^2)\\
&=&\delta({p^0}^2-E_{\bf{p}}^2)\\
&=&\frac{1}{2E}\{\delta(p^0-E_{\bf{p}})+\delta(p^0+E_{\bf{p}})\}
\end{eqnarray}
}

「次に、 E_{\bf{p}}>0, p^0>0として、このδ関数の p^0についての積分を実行してみます」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\int_0^\infty dp^0\delta(p^2-m^2)&=&
\int_0^\infty dp^0\frac{1}{2E_{\bf{p}}}\{\delta(p^0-E_{\bf{p}})+\delta(p^0+E_{\bf{p}})\}\\
&=&\int_0^\infty dp^0\frac{1}{2E_{\bf{p}}}\delta(p^0-E_{\bf{p}}) \big|_{p^0>0}\\
&=&\frac{1}{2E_{\bf{p}}}\big|_{p^0>0}\\
\end{eqnarray}
}

「これから次の関係式が成り立つことがわかります」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\frac{1}{2E_{\bf{p}}}&=&\int_0^\infty dp^0\delta(p^2-m^2)\big|_{p^0>0}\\
\end{eqnarray}
}

「この関係式を(2.39)式の両辺に代入することにより、(2.40)式を導くことができます」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\int\frac{d^3p}{(2\pi)^3}\frac{1}{2E_{\bf{p}}}=\int\frac{d^4p}{(2\pi)^4}(2\pi)\delta(p^2-m^2)\big|_{p^0>0}
\end{eqnarray}
}
(2.40)