スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

エネルギー・運動量テンソルを対称的にする方法

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
 T^\mu_{\,\,\,\nu}&=&\mathcal{F}^{\lambda\mu}\partial_\nu A_\lambda-\mathcal{L}\delta^\mu_\nu.
\end{eqnarray}
}

「次に、計量テンソルg^{\nu\nu}を用いて、エネルギー・運動量テンソルT_\nu^\muの添字\nuを上付きにします」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
 T^\mu_{\,\,\,\nu}g^{\nu\nu}&=&\mathcal{F}^{\lambda\mu}\partial_\nu A_\lambda g^{\nu\nu}-\mathcal{L}\delta^\mu_\nu g^{\nu\nu}\\
 T^{\mu\nu}&=&\mathcal{F}^{\lambda\mu}\partial^\nu A_\lambda-\mathcal{L}\delta^{\mu\nu}.
\end{eqnarray}
}

「ここで問題なのは、通常の手続きでは、対称テンソルを導くことができないという点です。実際、上のエネルギー・運動量テンソルT_\nu^\muは、添字\mu, \nuの入れ替えに対して対称的ではありません」
「どうしてテンソルが対称じゃないとダメなのよ?」
 一宮が訊ねた。
「これは、下の一般相対性理論の基本方程式において、エネルギー・運動量テンソルT_{\mu\nu}が対称だからです」

一般相対性理論の基本方程式
{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
G_{\mu\nu}+\Lambda g_{\mu\nu}=\kappa T_{\mu\nu}
\end{eqnarray}
}

「このエネルギー・運動量テンソルが対称テンソルでないという問題を解決すべく、テキストでは \partial_\lambda K^{\lambda\mu\nu}の形で K^{\lambda\mu\nu}の項を加えることを提案しています。ここで、 K^{\lambda\mu\nu}の項は、最初の2つの添字において反対称(すなわち、 K^{\lambda\mu\nu}=-K^{\mu\lambda\nu})です。このようなものは自動的に発散がなくなり、 \hat{T}^{\mu\nu}=T^{\mu\nu}+\partial_\lambda K^{\lambda\mu\nu}は、同じく全体的にエネルギーと運動量が保存された等しく良好なエネルギー・運動量テンソルになるといっています」
「どうして発散がなくなるのよ?」
 一宮が首を傾げた。
「実際、\partial_\mu\partial_\lambda K^{\lambda\mu\nu}の添字\lambda, \muを入れ替えた式は、 K^{\lambda\mu\nu}の添字\lambda, \muについての反対称性から\partial_\lambda\partial_\mu K^{\mu\lambda\nu}=-\partial_\mu\partial_\lambda K^{\lambda\mu\nu}となります。それゆえ、全ての添字\lambda, \muについての和をとると、添字\lambda, \muを入れ替える前の式と入れ替えた後の式とがちょうどプラスマイナスになって打ち消し合うため、\Sigma_{\mu, \lambda}\partial_\mu\partial_\lambda K^{\lambda\mu\nu}=0のように発散がゼロになるのです」