テンソルの添字の上げ下げと符号の関係
「でも、なんでの上付き添字を下付き添字にすると、のように符号がマイナスからプラスに反転するのよ?」
一宮が訊ねた。
「通常、の上付き添字を下付き添字にするには、計量テンソルをかける必要がありますが、ミンコフスキー空間の計量テンソルの場合、添字のいずれか一方が0の場合と0以外の場合とで、符号が異なります」
「例えば、の上付き添字を下付き添字にする操作は、ちょうど計量テンソルをかける操作に相当するため、となって、のように符号が反転するのです」
↓ をかける
「一方、の上付き添字を下付き添字にする操作は、ちょうど計量テンソルをかける操作に相当するため、となって、のように符号は反転しません」
「それじゃ、のように、上付き添字の一方だけ下付き添字にした場合はどうなるのよ?」
「その場合は、ちょうど計量テンソルをかける操作に相当するため、となって、のように符号が反転します。一方、0の上付き添字だけ下付き添字にする操作は、ちょうど計量テンソルをかける操作に相当するため、となって、のように符号が反転しません」
添字を上付きから下付きに変える場合:
↓ をかけるので符号が反転する
添字を上付きから下付きに変える場合:
↓ をかけるので符号は反転しない
「ただし、上の関係はミンコフスキー空間において成り立つ関係であり、実際にはどのような空間の計量テンソルを考慮するかによって異なります。また、同じミンコフスキー空間でも、下のようにをマイナス符号、をプラス符号と定義することもあるので注意してください」