スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

ユニタリ変換とユニタリ行列の関係

「ところで、ユニタリ変換は、ヒルベルト空間において定義されますが、特に、ヒルベルト空間が、複素数列のベクトル \xi=(\xi_1, \cdots, \xi_n)で、 \bar{\xi}_i \xi_i複素共役として、その自乗の総和」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\mid\xi\mid^2&=&\bar{\xi}_1\xi_1+\bar{\xi}_2\xi_2+\cdots+\bar{\xi}_n\xi_n
\end{eqnarray}
}

「からなる集合の場合、ユニタリ変換は、ユニタリ行列 Uで表され、次のように書くことが出来ます」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
U^\dagger U&=&UU^\dagger=E
\end{eqnarray}
}

「ここで、 E単位行列(unit matrix)であり、ここにも『unit』という言葉が現れます。なお、ユニタリ変換は、どのような場合でもユニタリ行列で表されるように記載されている教科書もありますが、実は、これは厳密ではありません。実際、上の条件を満たさないヒルベルト空間では、ユニタリ変換をユニタリ行列で表すことができません」

特定のヒルベルト空間において、ユニタリ変換はユニタリ行列で表される
 ↓
全てのヒルベルト空間において、ユニタリ変換がユニタリ行列で表されるわけではない
 ↓
全てのユニタリ変換がユニタリ行列に対応するわけではない

「したがって、全てのユニタリ変換がユニタリ行列に対応するわけではありません。この点について、間違いを記載した教科書やWikiも多いので注意してください」
「そんなこと言ったって、同じ『ユニタリ』なんて名前が付いているから、てっきり同じものだと思ってしまうじゃないの!」
 一宮がふてくされるような顔で文句を言った。

「たしかに紛らわしいですが、正しくは、ユニタリ変換が定義される空間の範囲は、ユニタリ行列が定義される空間の範囲よりも広いイメージです」

ユニタリ変換が定義される空間の範囲  \supset ユニタリ行列が定義される空間の範囲

「だから、ユニタリ変換=ユニタリ行列というように、間違って覚えないで下さいね」