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スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

2粒子系の散乱の微分断面積の式

散乱の微小確率: 
d\Gamma=\frac{T|M|^2|{\bf{k}}|}{64\pi^2VE_pE_{p^\prime}(E_k+E_{k^\prime})}\delta(E_k+E_{k^\prime}-E_p-E_{p^\prime}) d(E_k+E_{k^\prime})d\Omega

「ここで、デルタ関数は、 E_k+E_{k^\prime}-E_p-E_{p^\prime}=0、すなわち、 E_k+E_{k^\prime}=E_p+E_{p^\prime}のときに1になり、それ以外では0になります。これは、衝突前の粒子のエネルギーの総和と、衝突後の粒子のエネルギーの総和が保存する場合を示しています。それゆえ、式は次のようになります」

散乱の微小確率: 
d\Gamma=\frac{T|M|^2|{\bf{k}}|}{64\pi^2VE_pE_{p^\prime}(E_k+E_{k^\prime})}d\Omega(ただし、 E_k+E_{k^\prime}=E_p+E_{p^\prime}

「ここでの目標は、微分断面積 \frac{d\sigma}{d\Omega}を求めることなので、次に、散乱の微小確率 d\Gammaと散乱の微小断面積 d\sigmaとの関係を求めてみましょう。散乱確率 \Gammaは、下図のように、全体積 V内に存在する入射粒子のうち、散乱断面積 \sigma内に入射する粒子の割合で表されます]

f:id:Dreistein:20141031050715p:plain

「上図においては、全体積 V内に存在する14個の粒子のうち、8個の粒子が散乱断面積 \sigma内に入射するため、その散乱確率 \Gammaは、8/14=4/7=0.57となります。ここで、入射粒子の密度を n、入射粒子の速度を vとすると、時間 Tの間に散乱断面積 \sigma内に入射する粒子の数 N_sは、 N_s=nvT\sigmaとかけます。一方、全体積 V内の入射粒子の数 N_{total}は、 N_{total}=nVとかけるため、結局、粒子の散乱確率 \Gammaは、次のようになります」

 \Gamma=\frac{N_s}{N_{total}}=\frac{nvT\sigma}{nV}=\frac{vT\sigma}{V}

「この問題の場合、電子 e^-陽電子 e^+との間の散乱を考えているので、入射粒子の速度 vは、陽電子 e^+に対する電子 e^-の相対速度と考えることができます。ここで、電子 e^-の速度 v_pは、電子 e^-の運動量 |\bf{p}|と電子 e^-のエネルギー E_pを用いて、次のようにかくことができます」

電子 e^-の速度 v_p=\frac{|\bf{p}|}{E_p}

「ちょっと待ってよ! どうして、運動量をエネルギーで割った値が、速度になるのよ?」
 一宮が突然憤慨するように言った。
相対性理論によれば、粒子の速度vは、次のように表すことができます」

 v/c=\frac{p/mc}{\sqrt{1+(p/mc)^2}}=\frac{p}{\sqrt{(mc)^2+p^2}}=\frac{p}{E_p}

「自然単位系では、 c=1とみなせるので、結局、運動量 pをエネルギー E_pで割った値が速度になるのです。それゆえ、電子 e^-の速度[v_p]および陽電子 e^+の速度 v_p^\primeは、次のように表すことができます」

電子 e^-の速度 v_p=\frac{|\bf{p}|}{E_p}
陽電子 e^+の速度 v_{p^\prime}=-\frac{|\bf{p}|}{E_{p^\prime}}

「結局、陽電子 e^+に対する電子 e^-の相対速度 v_{rel}は、次のようになります」

 v_{rel}=v_p-v_{p^\prime}=\frac{|\bf{p}|}{E_p}+\frac{|\bf{p}|}{E_{p^\prime}}=\frac{E_p+E_{p^\prime}}{E_pE_{p^\prime}}|{\bf{p}}|

「上式を、粒子の散乱確率 \Gammaの式に代入すると、次のようになります」

 \Gamma=\frac{v_{rel}T\sigma}{V}=\frac{(E_p+E_{p^\prime})T\sigma}{E_pE_{p^\prime}V}|\bf{p}|

「また、散乱の微小確率 d\Gammaと微小断面積 d\sigmaとの間にも同様の関係が成り立ちます」

 d\Gamma=\frac{v_{rel}T\sigma}{V}=\frac{(E_p+E_{p^\prime})Td\sigma}{E_pE_{p^\prime}V}|\bf{p}|

「この式が、ブラケットの計算から求めた散乱の微小確率 d\Gammaの式に等しいとおくことにより、微分断面積 \frac{d\sigma}{d\Omega}の式を導くことができます」

散乱の微小確率:
 \begin{eqnarray}
d\Gamma&=&\frac{T|M|^2|{\bf{k}}|}{64\pi^2VE_pE_{p^\prime}(E_k+E_{k^\prime})}d\Omega=\frac{(E_p+E_{p^\prime})Td\sigma}{E_pE_{p^\prime}V}|\bf{p}|\\ 
\therefore \frac{d\sigma}{d\Omega}&=&\frac{|M|^2|\bf{k}|}{64\pi^2(E_p+E_{p^\prime})(E_k+E_{k^\prime})|\bf{p}|}
\end{eqnarray}

「ここで、 E_k+E_{k^\prime}=E_p+E_{p^\prime}=2E=E_{\rm cm}とおくと、2粒子系の散乱の微分断面積 \frac{d\sigma}{d\Omega}の式は、最終的に次のようになります」

 散乱の微分断面積:\frac{d\sigma}{d\Omega}=\frac{1}{64\pi^2E_{\rm cm}^2}\cdot\frac{|\bf{k}|}{|\bf{p}|}\cdot|M|^2