スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

クライン-ゴルドン方程式の導出

「ここで、上のような上付きの添字と下付きの添字がセットになったものは、『内積』を表し、ローレンツ変換に対して不変な量となることが知られています。また、ラグランジアンもローレンツ変換に対して不変な量なので、その運動項は、実際には次のように上…

アインシュタインの縮約記法とは

「ここでは差し当たり、が実数の場であると考えます。mは、セクション2.3において質量であると解釈されますが、今は単なるパラメータであると考えます。ここで、ラグランジアンから運動方程式を導くことができます」 「このラグランジアンを、以前求めたオイ…

スカラー場とは

「結局、ハミルトニアンは、を使って、次のように書くことができます」 「この式を連続的に表現すると、次のようになります」 (2.5) 「ここで、は、ハミルトニアン密度と呼ばれます。なお、テキストによれば、このセクションの最後で、ハミルトニアン密度の…

運動量密度とは

「一般化運動量は、ラグランジアンLを用いて、次のように定義されました」 一般化運動量(または共役運動量) 「一方、場で表したとき、一般化運動量pは、ラグランジアンを用いて、次のように定義することができます」 「これは、一般化座標が単に、場に置き…

ハミルトニアンとは

「ラグランジアンLを用いると、ハミルトニアンHは、と表されます」 「ハミルトニアンって何よ?」 「ハミルトニアンは、一言で言えば、系全体のエネルギーを特定の座標系によらない一般化座標で表したものです」 ハミルトニアン 系全体のエネルギーを特定の…

共役運動量とは

「ラグランジュ形式の場の理論についてお話した後は、ハミルトン形式の場の理論についてお話します。ラグランジュ形式の場の理論は、全ての式があらわにローレンツ不変であるため、特に相対論的力学に適していますが、このテキストでは、第1部を通してハミ…

オイラー・ラグランジュ方程式の導出法

(2.2) 「以上説明したように、(2.2)式の最終行の第3項は、ガウスの発散定理により、積分の4次元時空領域の境界上の面積分に変えることができます」 ガウスの発散定理 「でも、なんて、(2.2)式のどこにも書いてないじゃないの?」 一宮が不審そうな顔で訊ね…

ガウスの発散定理とは

(2.2) 「ここで、(2.2)式において、微分の公式を用います。この公式は、との積の変化は、を固定してのみを変化させた場合と、を固定してのみを変化させた場合の和に相当することを意味します。ここで、とおくと、次の式が得られます」 「この関係を用いると…

全微分とは

「ラグランジアン密度の作用積分Sは、次のように書くことができます」 (2.1) 「このテキストの主題は、場の理論なので、以下、を単に、ラグランジアンと呼ぶことにします。前回お話したように、最小作用の原理は、時間との間で、始点Oから終点Pに系が発展す…

ラグランジアン密度とは

「一方、局所的な場の理論では、ラグランジアンLは、ラグランジアン密度の空間積分として書くことができます。ラグラジアンLと区別するため、ラグラジアン密度はLの花文字で表されます。ラグランジアンLは、一般化座標とその時間微分の関数で表されますが、…

ラグランジアンの物理的な意味

次のセクションからは、越野さんが再び解説を行うこととなった。 「セクション2.2では、場の量子論の議論で必要となる古典的な場の理論の定式化を見てみます。では、最初に、ラグランジュの場の理論を見てみましょう。古典力学の基本的な量は、作用Sと呼ばれ…

超光速の粒子は実在する?

相対論的な粒子の確率振幅 「このように、光円錐の外側の領域において、相対論的な粒子の伝搬振幅U(t)は小さくなりますが、それでもゼロにはならないことがわかります。これは、超光速の粒子が存在するということを意味しています」 ここで石原は、意味あり…

停留値法による近似計算の例

石原は満足そうに笑みを浮かべながら、俺たち一人一人をゆっくりと見渡した。 「停留値法においては、停留値の近傍の波の位相の変化は緩やかなため、その積分の寄与が大きく現れ、一方、停留値以外の波の位相の変化は激しいため、波が互いに打ち消し合ってそ…

コーシーの積分定理の使い方

「ちょっと待ってよ! 問題の計算って、そもそも実数の積分計算でしょ?」 相対論的な粒子の確率振幅U(t) 「なのに、なんで複素数の積分が出てくるのよ?」 一宮の質問に、石原は切れ長の目を細めつつ、笑みを浮かべて頷いた。 「聡明な一宮さんが、そのよう…

コーシーの積分定理とは

「ここで、実際に停留値を求めてみましょう。微分が変化率を表すことに注目すると、停留値は、位相関数を運動量pで微分したときにゼロになる値に相当します」 「この式を運動量pについて解くと、停留値が求められます」 「したがって、位相関数f(p)は、で停…

停留値法とは

相対論的な粒子の確率振幅U(t) 「次に、位相関数を考えます。前回、波の位相とは、時間とともに周期的に変化する波において、波の変化の段階(フェーズ)を表す指標となる角度であり、やのに相当するという話をしました」 波の位相:時間とともに周期的に変…

位相とは

相対論的な粒子の確率振幅U(t) 「それでは、光円錐の外側の領域に粒子が存在するとき()の、U(t)の振る舞いを停留値法(method of stationary phase)で求めるため、sin関数の変数と、指数関数のを除いた変数とを合わせた位相関数を考えます」「ちょっと分…

光円錐とは

相対論的な粒子の確率振幅U(t) 「次に、のときの、U(t)の振る舞いを見てみます。ここで、は、光円錐(こうえんすい、light cone)のずっと外側に位置する領域を示します」 「コウエンスイってなによ?」 一宮が質問する。「光円錐とは、4次元のミンコフスキ…