スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

時間的な伝搬粒子のクライン‐ゴルドン場の振幅の導出1

「前回の計算により、時空間のクライン‐ゴルドン場の伝搬粒子の振幅は、次のようになることが分かりました」


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
D(x-y)&=&\langle0\mid\phi(x)\phi(y)\mid0\rangle=\int\frac{d^3p}{(2\pi)^3}\frac{1}{2E_{\bf{p}}}e^{-i{\bf{p}\cdot(\bf{x}-\bf{y})}}.
\end{eqnarray}
}
(2.50)

「この形の積分は、(2.40)からローレンツ不変になることをすでに説明しました」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\int\frac{d^3p}{(2\pi)^3}\frac{1}{2E_{\bf{p}}}=\int\frac{d^4p}{(2\pi)^4}(2\pi)\delta(p^2-m^2)\big|_{p^0>0}
\end{eqnarray}
}
(2.40)

「次に、 x-yのいくつか特定の値について、実際にこの積分を評価してみましょう。最初に、差 x-yが純粋に時間的方向にある場合、すなわち、 x^0-y^0=t, x-y=0の場合を考えてみましょう( yから xまでの間隔が時間的であるならば、これが成り立つような座標系が常にあります)。最初に、(2.50)式の d^3p積分計算をするために、極座標系への積分変換を行います」

極座標系への積分変換
{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\int d^3p&=&\int_0^\infty dp\int_0^\pi pd\theta \int_0^{2\pi} p\sin{\theta} d\phi\\
&=&\int_0^\infty p^2dp\int_0^\pi \sin{\theta}d\theta \int_0^{2\pi}  d\phi\\
&=&2\pi\int_0^\infty p^2dp\int_0^\pi \sin{\theta}d\theta\\
\end{eqnarray}
}

「ここで、 \cos{\theta}=\xiとおくと、 -\sin{\theta}d\theta=d\xiとなるため、上の式は次のようになります」

極座標系への積分変換
{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\int d^3p&=&2\pi\int_0^\infty p^2dp\int_0^\pi \sin{\theta}d\theta\\
&=&2\pi\int_0^\infty p^2dp\int_{-1}^1 d\xi\\
&=&2\pi\int_0^\infty p^2dp\bigg[xi\bigg]_{-1}^1\\
&=&4\pi\int_0^\infty p^2dp
\end{eqnarray}
}

「この式を(2.50)式に代入し、アインシュタインの関係式 E_{\bf{p}}^2= p^2+m^2 x^0-y^0=t, x-y=0および p^0=Eの関係を用いると、 D(x-y)は次のようになります」


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
D(x-y)&=&\int\frac{d^3p}{(2\pi)^3}\frac{1}{2E_{\bf{p}}}e^{-i{\bf{p}\cdot(\bf{x}-\bf{y})}}\\
&=&\frac{4\pi}{(2\pi)^3}\int_0^\infty dp\frac{p^2}{2E_{\bf{p}}}e^{-i{p^0(x^0-y^0)}}\\
&=&\frac{4\pi}{(2\pi)^3}\int_0^\infty dp\frac{p^2}{2\sqrt{p^2+m^2}}e^{-iEt}\\
&=&\frac{4\pi}{(2\pi)^3}\int_0^\infty dp\frac{p^2}{2\sqrt{p^2+m^2}}e^{-i\sqrt{p^2+m^2}t}
\end{eqnarray}
}