エネルギー・運動量テンソルを対称的にする方法3
「上のエネルギー・運動量テンソルの式において、添字を入れ替えた式が対称的となっているか調べてみましょう」
「ここで、およびの関係を用いました。次に、各項の添字を上げ下げします。それには、各項に計量テンソルをかけます」
「ちょっと、勝手に計量テンソルをかけてもいいの?」
一宮が胡散臭そうな目で越野さんを見た。
「その点なら問題ありません。計量テンソルとは逆行列の関係にあり、次の関係が成り立ちます」
「ここで、はクロネッカーのデルタで、のとき1、のとき0となる関数です。このとき、とすれば、次の関係式を導くことができます」
「したがって、式にを自由にかけることができます。そこで、エネルギー・運動量テンソルの式の各項に計量テンソルをかけて、各項の添字を上げ下げすると、次のようになります」
「これは添字を入れ替える前のの式と同じ形をしています。したがって、エネルギー・運動量テンソルが対称的であることがわかりました」