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スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

Heisenbergの運動方程式

2.4 時空内のクライン-ゴルドン

「前の節では、Schrodinger描像のクライン-ゴルドン場を量子化し、結果として生じた理論を相対論的粒子の観点から解釈しました。この節では、Heisenberg描像に切り換えて考えることにします」
「どうしてHeisenberg描像で考えるのよ?」
「Heisenberg描像で考えることによって、時間に依存した量および因果律の問題を議論することが容易になるためです。最初に、Heisenberg描像において、演算子 \phi \piを通常の方法で時間依存にします」


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\phi(x)&=&\phi({\bf{x}},t)=e^{iHt}\phi({\bf{x}})e^{-iHt}.
\end{eqnarray}
}
(2.43)

「なんで演算子の左右に e^{iHt}e^{-iHt}がつくのよ? どちらか片方だけでよくない?」
 一宮が首を傾げた。
演算子の左右に e^{iHt}e^{-iHt}がつくのには理由があります。例えば、任意の時刻tにおける状態ベクトル \mid \phi(t)は、次のように書くことができます」


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\mid\phi(t)\rangle=e^{-iHt}\mid\phi(0)\rangle
\end{eqnarray}
}

「ここで、Schrodinger表示の任意の演算子 \mathcal{O}(0)を時刻tにおける任意の状態ベクトル \mid\phi_1(t)\rangle \mid\phi_2(t)\rangleではさんだ行列要素を求めると、次のようになります」


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\langle\phi_1(t)\mid \mathcal{O}(0)\mid\phi_2(t)\rangle=\langle\phi_1(0)\mid e^{iHt} \mathcal{O}(0)e^{-iHt}\mid\phi_2(0)\rangle=\langle\phi_1(0)\mid \mathcal{O}(t)\mid\phi_2(0)\rangle
\end{eqnarray}
}

「このとき、 \mathcal{O}(t)=e^{iHt} \mathcal{O}(0)e^{-iHt}となって、演算子 \mathcal{O}(0) e^{iHt}e^{-iHt}にはさまれた形になるのです。これが、演算子の左右に e^{iHt}e^{-iHt}がつく理由です」
「なるほど。そういうわけね」
 一宮は納得するように頷いた。
「ここで、 \mathcal{O}(t)=e^{iHt} \mathcal{O}(0)e^{-iHt}を時間tで微分してみましょう」


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\frac{\partial\mathcal{O}(t)}{\partial t}=\frac{\partial}{\partial t}e^{iHt} \mathcal{O}(0)e^{-iHt}=ie^{iHt} (H\mathcal{O}(0)-\mathcal{O}(0)H)e^{-iHt}=-i[\mathcal{O}(t), H]
\end{eqnarray}
}

「これからHeisenbergの運動方程式を導くことができます」


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
i\frac{\partial}{\partial t}\mathcal{O}=[\mathcal{O}, H].
\end{eqnarray}
}
(2.44)

「Heisenbergの運動方程式は、量子力学的な系の物理量を表す演算子の時間的変化を規定する運動方程式で、Schrodinger表示における運動方程式と同等の方程式です」