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スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

超光速の粒子に働く超光速の相関

「それで、結局のところ、超光速の粒子は存在するの?」
 一宮が訊ねる。
「クライン‐ゴルドン場の理論によれば、超光速の粒子は存在することになります」
「ほんとなの?」
 予想外の言葉に意表をつかれたように、一宮は押し黙った。
「本当です。実際、超光速の空間的領域( x^0-y^0=0, x-y=r)において、粒子の伝搬振幅がゼロではないことを、下の(2.52)式が示しています」


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\frac{1}{4\pi^2r}\int_m^\infty d\rho\frac{\rho e^{-\rho r}}{\sqrt{\rho^2-m^2}}\sim_{r\rightarrow \infty}e^{-mr}.
\end{eqnarray}
}
(2.52)

「でも、それはあくまで単一粒子の場合での話であって、実際には、他の粒子の影響も考えないといけないんじゃないですか?」
 石原が橫から口を差しはさむと、越野さんが頷いた。
「たしかに、他の粒子からの影響も考慮する必要があります。そこで、ある粒子を測定したときに、他の粒子の測定に影響を与えているか否かを確かめるべく、場\varphiの交換関係を計算しました」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\big[\phi(x), \phi(y)\big] &=&\int\frac{d^3p}{(2\pi)^3}\frac{1}{\sqrt{2E_{\bf{p}}}}
\int\frac{d^3q}{(2\pi)^3}\frac{1}{\sqrt{2E_{\bf{q}}}}\\
&&\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,\,
\times\big[( a_{\bf{p}}e^{-ip\cdot x}+ a_{\bf{p}}^\dagger e^{ip\cdot x}), (a_{\bf{q}}e^{-iq\cdot y}+ a_{\bf{q}}^\dagger e^{iq\cdot y})\big]\\
&=&\int\frac{d^3p}{(2\pi)^3}\frac{1}{2E_{\bf{p}}}(e^{-ip\cdot (x-y)} -e^{ip\cdot (x-y)})\\
&=&D(x-y)-D(y-x).
\end{eqnarray}
}
(2.53)

「上の(2.53)式は、2つの地点 x, yの場 \varphi(x), \varphi(y)不確定性原理による相関を有するか否かを確かめるものです。 [\phi(x), \phi(y)] がゼロでなければ、場 \varphi(x), \varphi(y)が不確定性関係による相関をもつことを示します」

 [\phi(x), \phi(y)] がゼロ:場 \varphi(x), \varphi(y)の測定が不確定性原理による相関をもたない
 [\phi(x), \phi(y)] がゼロでない:場 \varphi(x), \varphi(y)の測定が不確定性原理による相関をもつ

不確定性原理による相関ってことは、つまりは、一方の量を測定すれば、もう一方の測定量も瞬時に影響を受けるということか」
 俺がつぶやくと、越野さんは同意した。
「そういうことになりますね」
「それじゃ、不確定性原理による相関自体、まるで超光速の相関みたいなものじゃない?」
 そういって一宮は、突然何かに気づいたように、はっとしたように瞳を光らせた。
「ちょっと待って。ということは、もともと単独で超光速の粒子が存在する上に、さらに他の粒子からの超光速の相関が働くってこと?」

超光速の粒子が存在する
 ↓
不確定性原理による他の粒子からの超光速の相関がさらに働く

「これまで導いてきた式を厳密に解釈すれば、そういうことになりますね」