ボース粒子とは
「エネルギーは1粒子のエネルギーを表すものと考えられるため、今後はを(または、単にE)と書くことにします。ここで、エネルギーが常に正:となることに注意してください。この形式により、粒子の統計を決定することが可能になります」
「粒子の統計?」
越野さんは頷いた。
「例えば、2粒子状態を考えてみましょう。とは共に生成演算子であり、これらは交換可能(可換)であるため、2粒子状態と、これらの2粒子を入れ替えた状態とは、同一となります」
クライン−ゴルドン場の2粒子状態を入れ替えても同一の状態になる
「さらに、単一モードpは、任意の数の粒子を含むことができます。これはちょうど、単調和振動子(バネ)が、任意の高さのレベルまで励起できるのと同様です。それゆえ、クライン‐ゴルドン粒子は、ボース‐アインシュタイン統計に従うものと結論付けることができます」
「ボース‐アインシュタイン統計って、何よ?」
「粒子の入れ替えに対して、波動関数が対称的となるような粒子を『ボース粒子(Bose particle)』と呼びます。ボース粒子は、例えば、整数のスピンをもつ光子などの粒子や、偶数個の半奇数の素粒子からなる、などの粒子などが挙げられます。ボース粒子は、1つの量子状態を占有する粒子の数が0からまで任意の数を取りうることが知られています。逆にいえば、ボース粒子は、複数の粒子が同一の量子状態を取りうるのです」
ボース粒子(Bose particle)
粒子の入れ替えに対して、波動関数が対称的となるような粒子
(例えば、整数のスピンをもつ光子などの粒子や、偶数個の半奇数の素粒子からなる、などの粒子)
↓
1つの量子状態を占有する粒子の数が0からまで任意の数を取りうる
「このようなボース粒子からなる系が満たす量子的な統計を『ボース‐アインシュタイン統計(Bose-Einstein statistics)』と呼びます。そして、クライン−ゴルドン粒子はまさしくボース‐アインシュタイン統計に従うボース粒子なのです」