スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

ハミルトニアンと生成・消滅演算子の関係式の導出

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
H^na_{\bf{p}}&=&a_{\bf{p}} (H-E_{\bf{p}})^n,\\
H^na_{\bf{p}}^\dagger
&=& a_{\bf{p}}^\dagger (H+E_{\bf{p}})^n.
\end{eqnarray}
}

「上の関係を用いることによって、次の関係式を導くことができます」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
e^{iHt}a_{\bf{p}} e^{-iHt}&=& a_{\bf{p}}e^{-iE_{\bf{p}}t}, \,\,\,\,\,\,\,
e^{iHt}a_{\bf{p}}^\dagger e^{-iHt}= a_{\bf{p}}^\dagger e^{iE_{\bf{p}}t}.
\end{eqnarray}
}
(2.46)

「ちょっと! どうしてそんな関係式が成り立つのよ?」
 一宮が理解できないといった風に、頭をかきむしった。
「上の計算には、少し飛躍があるかもしれませんね。でも、(2.46)式は、テイラー展開を用いることによって導き出すことができます。ここで、指数関数 e^{ix}は、次のようにテイラー展開できることを思い出してください」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
e^{ix}&=&1+x+\frac{x^2}{2!} +\frac{x^3}{3!}+\cdots+\frac{x^n}{n!}
\end{eqnarray}
}

「ところで、(2.46)式の1番目の式の両辺に右側から e^{iHt}をかけた式は、次のようになります」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
e^{iHt}a_{\bf{p}} &=&a_{\bf{p}}e^{-iE_{\bf{p}}t} e^{-iHt}\\
e^{iHt}a_{\bf{p}} &=&a_{\bf{p}}e^{i(H-E_{\bf{p}})t}
\end{eqnarray}
}

「この式の両辺は、次のようにテイラー展開することができます」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
\bigg\{1+Ht+\frac{(Ht)^2}{2!}+\cdots\bigg\}a_{\bf{p}} &=&a_{\bf{p}}\bigg\{1+(H-E_{\bf{p}})t+\frac{ (H-E_{\bf{p}})^2t^2}{2!}+\cdots\bigg\}
\end{eqnarray}
}

「左辺と右辺でtのべき乗数が同じ項同士を比較すると、 H^na_{\bf{p}}=a_{\bf{p}}(H-E_{\bf{p}})^nの関係式から、 n=0\sim\inftyについて、これらが全て等しいことが分かります。それゆえ、(2.46)式の1番目の式が成り立つことがわかります。同様に、(2.46)式の2番目の式が成り立つこともわかります」