スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

運動量演算子と生成・消滅演算子との交換関係

「次に、Hの代わりにPについて同様の操作を実行して、 \phi(x) \phi(o)とを関連付けることを考えてみます。(2.46)式と同様に、次の(2.48)式を示すことができます」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
e^{-i{\bf{P}}\cdot{\bf{x}}}a_{\bf{p}} e^{i{\bf{P}}\cdot{\bf{x}}}&=&a_{\bf{p}}e^{i{\bf{p}}\cdot{\bf{x}}}, \,\,\,\,\,\,\,
e^{-i{\bf{P}}\cdot{\bf{x}}}a_{\bf{p}}^\dagger e^{i{\bf{P}}\cdot{\bf{x}}}&=&a_{\bf{p}}^\dagger e^{-i{\bf{p}}\cdot{\bf{x}}}.
\end{eqnarray}
}
(2.48)

「ここで、 P^\mu=(H, P)であり、小文字のpと異なります」
「同じ文字なのに、小文字と大文字とで異なるなんて、紛らわしいわね!」
 一宮は不満そうに頬を膨らませた。
「紛らわしい表記法かもしれませんが、これは標準的な表記法です。大文字のPは、運動量演算子を表し、その固有値は系の全運動量を表します。一方、小文字のpは、場の単一のフーリエモードの運動量であり、そのモードの粒子の運動量と解釈することができます。ここで、よく定義された(well-difined)運動量のある1粒子状態については、pは、Pの固有値となります」

大文字のP:運動量演算子固有値は系の全運動量
小文字のp:場の単一のフーリエモードの運動量、そのモードの粒子の運動量

「ここで、(2.48)式を実際に導いてみましょう。具体的には、次の(2.33)式の関係を用います」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
{\bf{P}}&=&-\int d^3x\pi({\bf{x}})\nabla\phi({\bf{x}})=\int\frac{d^3p}{(2\pi)^3}{\bf{p}}a_{\bf{p}}^{\dagger}a_{\bf{p}}.
\end{eqnarray}
}
(2.33)

「(2.33)式から [a_{\bf{p}}, {\bf{P}}]は、次のようになります」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
[a_{\bf{p}}, {\bf{P}}]&=&a_{\bf{p}}{\bf{P}}-{\bf{P}} a_{\bf{p}}\\
&=&\int\frac{d^3p}{(2\pi)^3}( a_{\bf{p}}{\bf{p}}a_{\bf{p}}^{\dagger}a_{\bf{p}}-{\bf{p}}a_{\bf{p}}^{\dagger}a_{\bf{p}} a_{\bf{p}})\\
&=&\int\frac{d^3p}{(2\pi)^3}{\bf{p}}(a_{\bf{p}}a_{\bf{p}}^{\dagger} -a_{\bf{p}}^{\dagger}a_{\bf{p}}) a_{\bf{p}}\\
&=&\int\frac{d^3p}{(2\pi)^3}{\bf{p}}[a_{\bf{p}}, a_{\bf{p}}^{\dagger} ] a_{\bf{p}}\\
&=&\int\frac{d^3p}{(2\pi)^3}{\bf{p}}(2\pi)^3\delta^{(3)}(0)a_{\bf{p}}\\
&=&{\bf{p}}a_{\bf{p}}
\end{eqnarray}
}

「なお、最後の行への変形で、下の(2.29)式の関係を用いました」


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
[a_{\bf{p}}, a_{\bf{p}'}^\dagger]&=&(2\pi)^3\delta^{(3)}({\bf{p}}-{\bf{p}'}).
\end{eqnarray}
}
(2.29)

「また、 [a_{\bf{p}}^\dagger, {\bf{P}}]についても、同様に計算することができ、結局、次の関係式が成り立つことが分かります」

{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
[a_{\bf{p}}, {\bf{P}}]&=&{\bf{p}}a_{\bf{p}}\\
[a_{\bf{p}}^\dagger, {\bf{P}}]&=&{-\bf{p}}a_{\bf{p}}^\dagger
\end{eqnarray}
}