複素平面上の回転
(2.54)
「ここで、複素平面上において、下図のようにの極を回避するような積分経路を考え、この積分経路に沿って積分変数の積分を行います」
「の場合、下図に示されるように、下方から半円を描くように近づく閉じた積分経路Cが考えられ、この積分経路C内に2つの極が含まれることがわかります。そこで、これらの極をとることによって、(2.54)式の2行目の式が得られます」
「どうして、の場合に、下から積分経路に近づくことになるのよ?」
一宮の質問に、越野さんはしばし考え込んだ。
「複素積分では、複素平面上の回転は、指数関数によって表されますよね。位相がプラスのとき、反時計回りに回転し、位相がマイナスのとき、時計回りに回転します」
複素平面上の回転は、指数関数によって表される
位相がプラス→反時計回りに回転
位相がマイナス→時計回りに回転
「の場合、(2.54)式の最後の行の指数関数部分の位相の符号がマイナスになるため、全体の積分経路Cも時計回り、すなわち下向きに進むルートになるのだと思います」