超関数とは
「ここで、上式の1行目の右辺第1項の括弧()内を計算するため、デルタ関数の微分
を計算する必要があります」
「デルタ関数の微分?」
一宮は腑に落ちないような顔をして首を傾げた。
「でも、それってちょっとおかしくない。デルタ関数は下図のように、と
で不連続なんだから、そもそも微分不可能じゃないの?」
」
「たしかに、デルタ関数は不連続なので、通常なら微分を定義することはできません。でも、そんな場合でも、超関数(distribution)による微分の定義を使えば、デルタ関数の微分を計算することができるのです」
「超関数?」
「超関数は、『関数を超えた関数」、すなわち通常の関数を拡張した関数で、次のように定義されます」
超関数(distribution)
![]()
「ここで、は超関数、
は試験関数と呼ばれる関数であり、
の絶対値が十分に大きいときに、超関数
よりも急速に0に収束するような関数です」
:超関数(通常の関数を拡張した関数)
:試験関数(
の絶対値が十分に大きいときに、超関数
よりも急速に0に収束するような関数)