デルタ関数の微分を計算する方法
「それで、超関数を使ってどうやってデルタ関数の微分を計算するのよ?」
一宮は胡散臭そうな目をしながら越野さんに訊ねた。
「デルタ関数の微分を計算するには、次のような超関数を考えます」
「ここで、微分の公式からがいえるので、これをからまで積分すると、次のような積分公式が得られます」
「ここで、とすると、次の関係が得られます」
「この関係式を用いると、の式は次のように変形できます」
「ここで、試験関数は、の絶対値が十分に大きいときに急速に0に収束する関数なので、上式第2行目の右辺第1項はゼロとなります」
「それゆえ、試験関数をいろいろな値にしても上の式が常に成り立つとき、デルタ関数の微分には、次の関係が成り立つことがわかります」
「あら、デルタ関数の微分がなくなったわね」
一宮が感心するように唸った。
「このように、デルタ関数を試験関数とセットで取り扱うことによって、デルタ関数の微分の問題を、試験関数の微分の問題にすり替えることができるというわけです」
「つまり、超関数を使えば、デルタ関数の微分を直接計算することなく、試験関数の微分を計算することによって、デルタ関数の微分を求めることができるってわけね」