スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

ファインマン処方とは

「第4章では、極を別のやり方で処方することがとても有用です。このような処方は、ファインマン処方(Feynman prescription)と呼ばれます」
ファインマン処方? ちょっと! このテキストには、『Feynman(ファインマン)』じゃなくて、『Feynmarc(ファインマルク)』って書いてあるわよ!」
 一宮がテキストの該当箇所を指さした。

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「それは誤記じゃないでしょうか……」
 越野さんは、どうリアクションを返すべきか戸惑うような微妙な顔をした。
ハーバード大学卒の教授が書いた教科書のわりには、やたらに誤記が多いわね」
 一宮はわざとらしく、大きなため息をついた。

「ところで、ファインマン処方を覚える便利な方法は、次のように書くことです」


{ \displaystyle
\begin{eqnarray}
D_F(x-y)&\equiv&\int\frac{d^4p}{(2\pi)^4}\frac{i}{p^2-m^2+i\epsilon}e^{-ip\cdot(x-y)},
\end{eqnarray}
}
(2.59)

「そもそも、なんでそんな処方をしないといけないのよ?」
「このようにすれば、極が p^0=\pm(E_p-i\epsilon)となって、下図のように極が実数軸の上下に位置するようになるからです」

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「このように、極を実数軸の上下にずらす処方をファインマン処方と呼びます」

ファインマン処方(Feynman prescription)
 p^0=\pm E_pの位置を実数軸の上下にずらして p^0=\pm(E_p-i\epsilon)とする処方