スーパーサイエンスガール

日々科学と格闘する理系高校生達の超絶難解な日常。

2015-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ローレンツ変換とローレンツブーストの違い

「次に、規格化について考えてみます」 「規格化って何よ?」 一宮が口を尖らせた。 「『規格化(normalization)』というのは、ベクトルに適当な定数をかけて、ベクトルの長さ(『ノルム(norm)』と呼びます)を1にする操作をいいます」 『規格化(normal…

ボース粒子とは

「エネルギーは1粒子のエネルギーを表すものと考えられるため、今後はを(または、単にE)と書くことにします。ここで、エネルギーが常に正:となることに注意してください。この形式により、粒子の統計を決定することが可能になります」 「粒子の統計?」 …

クライン−ゴルドン粒子とは

「生成演算子は、真空状態に作用して、運動量およびエネルギーをもった状態を生成します。この状態にさらに生成演算子等を作用させると、運動量およびエネルギーをもった状態を生成します。以上をまとめると、下のようになります」 :真空状態 ↓生成演算子を…

クライン-ゴルドン場の全運動量演算子の計算3

「ここで、上式右辺の第1項および第4項は、pの符号を入れ替えたとき、それぞれおよびとなり、全体として符号がプラスからマイナスに入れ替わります。それゆえ、これらはpについて奇関数なので、からのpの積分において消去されます。したがって、右辺の第2…

クライン−ゴルドン場の全運動量演算子の計算2

「ここで、全運動量演算子の各項を、指数関数をかけた項に展開すると、次のようになります」 「また、などの積分変数の置換によって、各項のまたはの符号を適宜変換すると、次のようになります」 「上式をxについて積分すると、デルタ関数が現れます」 「次…

クライン−ゴルドン場の全運動量演算子の計算

「ここで、調和振動子についてしたように、この理論のスペクトルを書くことができます。すべてのpに対して、となる状態は、基底状態または真空状態であり、(2.31)式の無限大の定数を省略すると、エネルギーE=0となります。他のすべてのエネルギー固有状態は…

クライン−ゴルドン場のハミルトニアンの交換関係

「およびについて表現したハミルトニアンを用いると、交換関係およびの評価が簡単になります」 (2.31) 「ここで、(2.31)式を用いて、交換子を計算してみます」 「2行目から3行目への式変形において、(2.29)式から、となることを用いました」 (2.29) 「また、…

無限大の零点エネルギーの海

「ここで、クライン−ゴルドン場のハミルトニアンについて考察してみます」 (2.31) 「(2.31)式3行目の右辺第2項は、下の(2.29)式の関係からデルタ関数の原点における値に等しいことがわかります」 (2.29) 「ディラックによれば、デルタ関数は、のときであり…

クライン−ゴルドン場のハミルトニアンの式変形2

「ここで、下のデルタ関数の関係式から、例えばのxについての積分は、に等しくなることがわかる」 「そこで、上の関係式を用いて、各項のxについての積分をデルタ関数に置き換えてやると、次のようになる」 「次に、の積分を実行すると、次のようになる」 「…

クライン−ゴルドン場のハミルトニアンの式変形1

「生成・消滅演算子のにマイナスの符号がついたそもそもの経緯は、(2.25)式および(2.26)式を、(2.27)式および(2.28)式に置き換えたためだ」 (2.25) (2.26) (2.27) (2.28) 「だから、マイナスの符号をプラスの符号に戻すには、上の変換の逆変換をすればいい」…

クライン−ゴルドン場のハミルトニアンの式変形の方針

今まで武者さんの存在をすっかり忘れていた。俺は、彼女のステルス能力に再び戦慄した。 イージス艦の強力なレーダー網でも、彼女の存在を探知するのは困難に違いない。 「原点に戻るって、どういうことなの? 大和?」 一宮が問いかけると、武者さんは、読…

生成・消滅演算子による積分計算の一例(失敗例)

「この生成・消滅演算子の式を用いて、を計算してみます」 「ここで、の関係を用いました」 ここまで来て、越野さんは、計算式を書いていた手を止めて、ほとほと困ったような顔をした。 「あれ、おかしいですね。の関係式が成り立つかどうか確かめてみたかっ…

生成・消滅演算子をクライン−ゴルドン場とその運動量密度で表現した式の導出

(2.31) 「クライン−ゴルドン場のハミルトニアンの簡潔な式を導くのに、などの関係が成り立つものと仮定しました」「ちょっと。どうしてそんな関係が成り立つのよ? 納得いかないわね」 一宮の問いかけに、越野さんはしばしの間、考え込んだ。 「それでは、上…

クライン−ゴルドン場のハミルトニアンの生成・消滅演算子による表現3

「ここで、などの関係が成り立つものと仮定すると、クライン−ゴルドン場のハミルトニアンは次のようになります」 「また、交換関係から、上式にを代入すると、上式は次のようになります」 「したがって、(2.8)式のハミルトニアンは結局、次のようになります」…

クライン−ゴルドン場のハミルトニアンの生成・消滅演算子による表現2

「ここで、変数xについて積分してみます。変数xは、にのみ含まれ、これはデルタ関数になります」 「デルタ関数は、のとき、1となり、のとき0となる関数です。それゆえ、上で求めたハミルトニアンのについての積分は、、すなわち、の場合のみ残り、それ意外は…

クライン−ゴルドン場のハミルトニアンの生成・消滅演算子による表現

「次に、クライン−ゴルドン場のハミルトニアンを生成・消滅演算子で表わしてみます。具体的な方針としては、(2.8)式のハミルトニアンに、(2.27)および(2.28)式を代入します」 (2.8) (2.27) (2.28) 「ここで、(2.8)式の右辺の第1項は、次のようになります」 …

運動量の観点から見た生成・消滅演算子の交換関係

「次に、の交換関係が次のようになるものと定義します」 (2.29) 「すると、交換関係の右辺の角括弧([ ])内は次のようになります」 「このとき、交換関係は、次のように書くことができます」 「1行目から2行目で、どうしてが無くなっているのよ?」 一宮が…

クライン−ゴルドン場の交換関係の導出

「次に、(2.27)式および(2.28)式から、クライン−ゴルドン場の交換関係を計算してみます」 (2.27) (2.28) 「ここで、右辺の角括弧([ ])の中を計算してみます。生成演算子と消滅演算子の順序を入れ替えることができないことに注意して式を変形していきます。…